あの痛みを伴う帯状疱疹にかかるのは免疫力が弱っている人になります。
帯状疱疹が進行すると神経障害性の疼痛が出てくるようになります。
そんなときには普通の痛み止めでは効かなくなってきますから、
それ用の痛み止めを選択しなければなりません。
帯状疱疹の痛みに使うトリプタノールとは 薬としての効果と副作用について紹介します。
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帯状疱疹の痛みに使うトリプタノールとは
日本では1961年11月に薬価収載されている(25mg錠)、帯状疱疹により引き起こされる末梢性の神経障害性の疼痛の第一選択薬の1つである「トリプタノール」。
ジェネリック医薬品は発売されていますが薬価が同じなので、薬剤費は安くなりません。
2016年2月より帯状疱疹後神経痛などの末梢性神経障害性疼痛に対する適応が認められ、保険での支払いが可能になりました。
トリプタノールの成分名はアミトリプチリンである。
成分名は一般名とも呼び、アミトリプチリン塩酸塩錠10mg「サワイ」などのジェネリック医薬品が発売されています。
帯状疱疹はヘルペスウイルスの1種、水痘・帯状疱疹ウイルスによって起こります。
水痘・帯状疱疹ウイルスに初めて感染すると、水ぼうそうとして発症します。
治療により水ぼうそうが治ったあと、水痘・帯状疱疹ウイルスは体内の神経節に潜んでいます(潜伏感染)。
その後、加齢やストレス、過労などが引き金となってウイルスに対する免疫力が低下すると、かくれていたウイルスが再び活動をはじめ、神経を伝わって皮膚までやってきて、帯状疱疹として発症することになります。
帯状疱疹を発症して、最初の頃はピリピリ、チクチクした痛みが感じられるようになります。
そしてその痛みの程度が日増しに強くなっていきます。
これはウイルスが神経細胞を痛めつけながら移動するためで、その障害の程度でいろんな痛みを感じるようになっていきます。
帯状疱疹が進行すると神経障害性の痛みが大半を占めるようになります。
痛みを抑える神経「下行性疼痛抑制神経」にはノルアドレナリン作動性神経とセロトニン作動性神経の2つの系統があります。
トリプタノールはこの2つの神経機能を高めることで一次求心性神経から二次求心性神経への痛みのバトンタッチを抑制して鎮痛作用を示します。
(トリプタノールは古くからある第一世代の三環系抗うつ薬で、時間がかかりますが作用は強めです。)
禁忌
1)緑内障のある患者(緑内障が悪化するおそれがある)
2)三環系抗うつ薬に対し過敏症のある患者
3)心筋梗塞の回復初期の患者(心筋梗塞が悪化するおそれがある)
4)尿閉(前立腺疾患など)のある患者(症状が悪化するおそれがある)
5)モノアミン酸化酵素阻害剤(エフピー(セレギリン))を投与中あるいは投与中止後2週間以内の患者(血中のトリプタノールの濃度が上がる)
用法用量
末梢神経障害性疼痛(帯状疱疹後神経痛など)(他にも適用があります)
通常、成人には1日10mgを初期用量とし、その後、年齢、症状により適宜増減するが、1日150mgを超えないこと。
帯状疱疹後神経痛に対して投与する場合には、自殺念慮、自殺企図、敵意、攻撃性などの精神症状の発言リスクを考慮し、本剤の投与の適否を慎重に判断すること。
剤型は
錠剤
トリプタノール錠10mg 9.6円/1錠
トリプタノール錠25mg 9.6円/1錠
ジェネリック医薬品は先発と薬価も同じなのでメリットはない。
フイルムコーティングのためかまずに服用すること。
慎重投与
排尿困難のある患者(症状が悪化するおそれがある)
眼内圧亢進のある患者(症状が悪化するおそれがある)
心不全・心筋梗塞・狭心症・不整脈(発作性頻拍・刺激伝導障害など)などの心疾患のある患者(症状が悪化するおそれがある)
甲状腺機能亢進症の患者(循環器系に影響を及ぼすことがある)
てんかんなどのけいれん性疾患またはこれらの既往歴のある患者(けいれんを起こすことがある)
アルコールやブスコパン(ブチルスコポラミン臭化物)、ノービア(リトナビル)、レクシヴァ(ホスアンプレナビル)、デプロメール(フルボキサミン)、パキシル(パロキセチン)、キニジン、プロノン(プロパフェノン)、タンボコール(フレカイニド)、タガメット(シメチジン)、ニューレプチル・ピーゼットシーなど(フェノチアジン系製剤)、デパケン(バルプロ酸ナトリウム)などはトリプタノールの作用を増強することがある。(副作用が出やすくなる)
サラジェン(ピロカルピン塩酸塩)やバクタ(スルファメトキサゾール・トリメトプリム )、テグレトール(カルバマゼピン)、アレビアチン(フェニトイン)、セイヨウオトギリソウ含有食品はトリプタノールの作用を減弱することがある。
インスリン、経口血糖降下剤との併用で血糖降下作用が増強されることがある。
トラマール(トラマドール塩酸塩)との併用でけいれん発作の危険性が増大するとの報告がある。
ワーファリン(ワルファリンカリウム)との併用で抗凝血作用を増強するおそれがある。
スローケー(カリウム製剤)との併用で消化管粘膜刺激があらわれやすくなる。
アドレナリンやノルアドレナリンとの併用でアドレナリン作動薬の作用が増強されることがある。
チオペンタールなど(バルビルツール酸誘導体)との併用でトリプタノールの肝臓での代謝が増加したり(治療量)、有害作用を増強する(中毒量)ことがある。
イスメリン(グアネチジン硫酸塩)、ベンゾキシン(硫酸ベタニジン)との併用で降圧剤の作用を減弱することがある。
躁鬱病患者(躁転、自殺企図があらわれることがある)
脳の器質障害または総合失調症の素因のある患者(精神症状を憎悪させることがある)
衝動性が高い併存障害を有する患者(精神症状を憎悪させることがある)
自殺念慮または自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者(自殺念慮、自殺企図があらわれることがある)
高齢者では、起立性低血圧、ふらつき、抗コリン作用による口渇、排尿困難、便秘、眼内圧亢進などがあらわれやすいので、少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ投与すること。
本剤投与中は授乳を中止させること。
小児に対する安全性は確立していない。
薬としての効果
トリプタノールは帯状疱疹の独特の痛みである神経障害性疼痛に第一選択薬として出されることのあるお薬である。
2016年2月に末梢神経障害性疼痛(帯状疱疹後神経痛など)の適用が認められたところなので、使用の効果についてのデーターほとんどないようです。
口渇など副作用が出やすい藥のようです。
副作用について
主な副作用としては、口渇、眠気、振戦等のパーキンソン症状、めまいである。
その他では血圧上昇、動悸、不整脈、心発作、心ブロック、不眠、不安、白血球減少、肝機能障害、GOT上昇、GPT上昇、尿閉、体重増加などがあります。
重大な副作用では(滅多にないですが)
悪性症候群(急激な体温上昇や意識障害など)
セロトニン症候群(自律神経、中枢神経、末梢神経に影響が出る)
心筋梗塞
幻覚、せん妄、精神錯乱、痙攣
顏・舌部の浮腫
無顆粒球症、骨髄抑制(発熱やだるさが出たりします)
麻痺性イレウス(便とガスがたまり腸管が拡張)
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(体内に水分がたまってしまう状態)
まとめ
帯状疱疹の独特な痛みを改善する薬の補助として処方されることがあるトリプタノールはまだ十分な治療データがないようです。
口渇など副作用が出やすいお薬になりますから慎重に投与することになりそうです。
飲み合わせの悪い薬があるので、事前に服用していた薬について医師に伝えておくべきです。
トリプタノールはジェネリック医薬品がありますが、薬価が同じなので治療費も同じです。