あの痛みを伴う帯状疱疹にかかるのは免疫力が弱っている人になります。
帯状疱疹が進行すると神経障害性の疼痛が出てくるようになります。
そんなときには普通の痛み止めでは効かなくなってきますから、
それ用の痛み止めを選択しなければなりません。
帯状疱疹の痛みに使うトラマールとは 薬としての効果と副作用について紹介します。
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帯状疱疹の痛みに使うトラマールとは
日本では2010年9月に発売されている、帯状疱疹により引き起こされる末梢性の神経障害性の疼痛の第三選択薬の1つである「トラマール」。
ジェネリック医薬品はまだ発売されていないので、薬剤費は安くできません。
最初はカプセル剤のみの販売でしたが、後に(2014年12月)口腔内崩壊錠(OD錠)を発売した後、カプセル剤を販売中止にしました。
おそらく高齢者に対する配慮でOD錠のみのラインナップにしたのだと思われます。
また、その後(2015年6月)、徐放性のワントラムが発売され、1日1回の服用で鎮痛効果を持続させることができるようになりました。
トラマールの成分名はトラマドール塩酸塩である。
帯状疱疹はヘルペスウイルスの1種、水痘・帯状疱疹ウイルスによって起こります。
水痘・帯状疱疹ウイルスに初めて感染すると、水ぼうそうとして発症します。
治療により水ぼうそうが治ったあと、水痘・帯状疱疹ウイルスは体内の神経節に潜んでいます(潜伏感染)。
その後、加齢やストレス、過労などが引き金となってウイルスに対する免疫力が低下すると、かくれていたウイルスが再び活動をはじめ、神経を伝わって皮膚までやってきて、帯状疱疹として発症することになります。
帯状疱疹を発症して、最初の頃はピリピリ、チクチクした痛みが感じられるようになります。
そしてその痛みの程度が日増しに強くなっていきます。
これはウイルスが神経細胞を痛めつけながら移動するためで、その障害の程度でいろんな痛みを感じるようになっていきます。
帯状疱疹が進行すると神経障害性の痛みが大半を占めるようになります。
トラマールはオピオイドμ受容体作動作用と下行性疼痛抑制神経系の活性化作用による鎮痛効果を示します。
オピオイドμ受容体は中枢および末梢神経系に広く分布し、体の痛みの制御にかかわっています、この受容体への働きかけが1つ目の鎮痛作用となります。
次に痛みを抑える神経「下行性疼痛抑制神経」にはノルアドレナリン作動性神経とセロトニン作動性神経の2つの系統があり、この2つの神経機能を高めることで一次求心性神経から二次求心性神経への痛みのバトンタッチを抑制して鎮痛作用を示すのが2つ目の鎮痛作用となります。
禁忌
1)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2)アルコール、睡眠剤、鎮痛剤、オピオイド鎮痛剤または向精神薬による急性中毒患者(中枢神経抑制及び呼吸抑制を悪化させるおそれがある)
3)モノアミン酸化酵素阻害剤(エフピー(セレギリン))、アジレクト(ラサギリンメシル酸塩)を投与中あるいは投与中止後2週間以内の患者(作用が増強されることがある)
(2018年10月9日、アジレクト追加)
4)治療により十分な管理がなされていないてんかん患者(症状が悪化するおそれがある)
5)高度な腎障害または高度な肝障害のある患者(高い血中濃度が維持し、作用及び副作用が増強するおそれがある)(ワントラムの場合)
用法用量
慢性疼痛(帯状疱疹後神経痛など)(他にも適用があります)
通常、成人にはトラマドール塩酸塩として1日100~300mgを4回に分割経口投与する。なお、症状に応じて適宜増減するが、1回100mg、1日400mgを超えないこととする。
初回投与の場合は1回25mgから開始することが望ましい。(高齢者は投与上限を300mgにすることが望ましい)
本剤投与開始後は状態をよく観察し、適切な鎮痛効果が得られ副作用が最小になるように用量調節を適宜行うこと。
調節は1回25mgずつで行うこと。(1日は100mg)
(徐放性製剤のワントラムの場合は作用や副作用を考慮して1日1回100mgより開始することが望ましい)
慢性疼痛患者においては、その原因となる器質的病変、心理的・社会的要因、依存リスクを考慮し、本剤の投与の適否を慎重に判断すること。
投与開始五4週間を経過してもなお期待する効果が得られない場合には、他の適切な治療への変更を検討すること。
また、定期的に症状や効果を確認し、投与の継続の必要性について検討すること。
投与を中止する場合は、徐々に減量すること。
剤型
錠剤
トラマールOD錠25mg 38.6円/1錠
トラマールOD錠50mg 67.8円/1錠
ワントラム錠100mg 119.1円/1錠(徐放錠)
慎重投与
オピオイド鎮痛剤を投与中の患者(けいれんや呼吸抑制が起こりやすくなる可能性がある)
腎障害または肝障害のある患者(作用及び副作用が増強するおそれがある)
てんかんなどのけいれん性疾患またはこれらの既往歴のある患者(けいれんを起こすことがある)
薬物乱用または薬物依存傾向のある患者(依存性を生じやすい)
呼吸抑制状態にある患者(呼吸抑制を増強するおそれがある)
脳に器質的障害のある患者(呼吸抑制や頭蓋内圧の上昇をきたすおそれがある)
オピオイド鎮痛剤に対し過敏症の既往歴のある患者
ショック状態にある患者
オピオイド鎮痛剤(レペタン(ブプレノルフィン)、ソセゴン(ペンタゾシン)など)、中枢神経抑制剤(ニューレプチル・ピーゼットシーなど(フェノチアジン系製剤)、催眠鎮静剤等)との併用でけいれんや呼吸抑制が起こりやすくなるおそれがある。
三環系抗うつ剤(トリプタノールなど)、セロトニン作用薬(SSRIなど)との併用でけいれんやセロトニン症候群があらわれるおそれがある。
ザイボックス(リネゾリド)との併用でけいれんやセロトニン症候群があらわれるおそれがある。
アルコールとの併用で呼吸抑制が生じるおそれがある。
テグレトール(カルバマゼピン)との併用でトラマゾールの作用を弱めるおそれがある。
キニジンとの併用で相互に作用が増強するおそれがある。
ジゴシン(ジゴキシン)との併用でジゴキシン中毒が発現したとの報告がある。(外国より)
ワーファリン(ワルファリンカリウム)との併用で抗凝血作用に影響するおそれがある。
ゾフラン(オンダンセトロン塩酸塩水和物)との併用でトラマゾールの鎮痛作用が抑制されるおそれがある。
レペタン(ブプレノルフィン)、ソセゴン(ペンタゾシン)などとの併用でトラマゾールの鎮痛作用を減弱させるおそれがある。
高齢者では、生理機能が低下していることが多く、代謝・排泄が遅延し副作用があらわれやすいので、患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ投与すること。
授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。
12歳未満の小児には投与しないこと。12歳以上の小児に対する安全性は確立していない。
薬としての効果
トラマールは慢性疼痛の適用があるので帯状疱疹後神経痛に第三選択薬として出されることのあるお薬である。
モルヒネほどではないですが、便秘や吐き気、嘔吐、眠気などがあらわれやすいので、できれば第一選択薬であるリリカなどで治まるようならそちらを使うようにします。
副作用について
主な副作用としては、便秘(50.8%)、悪心(49.2%)、傾眠(29.5%)、嘔吐(19.0%)、浮動性めまい(18.5%)、口渇(9.3%、食欲減退(6.6%)頭痛(6.2%)、倦怠感(5.6%)である。
その他では振戦、不眠症、下痢、腹部不快感、上腹部痛、GOT増加、GPT増加、多汗症、そう痒症、湿疹、排尿困難、無力症、異常感などがあります。
重大な副作用では(滅多にないですが)
ショック・アナフィラキシー
呼吸抑制
痙攣
依存性
意識消失
まとめ
トラマールは慢性疼痛の適用があるので帯状疱疹後神経痛に第三選択薬として出されることのあるお薬である。
モルヒネほどではないですが、便秘や吐き気、嘔吐、眠気などがあらわれやすいので、できれば第一選択薬であるリリカなどで治まるようならそちらを使うようにします。
飲み合わせの悪い薬があるので、事前に服用していた薬について医師に伝えておくべきです。
トラマールはジェネリック医薬品がないので、薬剤費は安くすることができません。
使用量が増えて服薬を1日1回にしたい時はワントラムを使うことができます。