生活習慣病の糖尿病の治療において処方されることのあるカナリア。
経口血糖降下薬としては比較的に新しいSGLT2阻害薬とTPP阻害薬の合剤のものになります。
SGLT2阻害薬とTPP阻害薬の合剤では日本では初めて発売されたお薬で調剤薬局で調剤されることがまだまだない方です。
糖尿病用剤カナリアとは 薬としての効果と副作用について紹介します。
Contents
糖尿病用剤カナリアとは
日本では2017年8月より販売されている、DPP-4阻害剤による血糖値に比例したインスリン分泌促進作用とSGLT2阻害剤によるグルコースの再吸収阻害により血糖を改善する薬の1つである「カナリア」。
ジェネリック医薬品はまだ発売されていないので、薬の負担を減らそうとジェネリック医薬品の選択はできません。
カナリアの成分名はテネリグリプチン臭化水素酸水和物/カナグリフロジン水和物である。
糖尿病は膵臓から分泌されるインスリンの量が不足したり作用が弱まったりして血液中の糖分「血糖」が上がってしまう病気です。
血液中の糖分「血糖」は、膵臓から分泌されるインスリンで調節されています。
インスリンは膵臓にあるランゲルハンス島にあるβ細胞でつくられています。
食事などで血糖値が上昇すると、膵臓のβ細胞が働いてインスリンを分泌します。
そのインスリンは全身の臓器にとどくと、血糖を取り込んでエネルギーとして利用したり、たくわえたり、タンパク質の合成や細胞の増殖を促進したりします。
このように取り込まれた血糖はインスリンによって速やかに処理され血液中に一定の濃度で保たれています。
そのインスリンの量が不足したり働きが悪くなったりすると血液中の血糖を一定に保てなくなり糖尿病になるのです。
人体には重要なエネルギー源であるグルコースを無駄なく利用するために、再吸収という仕組みが備わっていたり、インクレチンを介したインスリン分泌促進作用をというものを持ち合わせています、それぞれの作用を阻害することで血糖が上がらないようにすることができます。
カナリアはSGLT2阻害剤とDPP-4阻害剤という異なる作用を持ち合わせた合剤で過血糖を改善することになります。
人体の仕組みを逆手にとった画期的な合剤ですね。
禁忌、
本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
重症ケトーシス、糖尿病性昏睡または前昏睡、(インスリンの適用である)
重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者(インスリンの適応である)
用法用量
2型糖尿病(テネリグリプチン臭化水素酸水和物とカナグリフロジン水和物を併用して状態が安定している場合、あるいはそれぞれの単剤で効果が不十分な場合に本剤の使用を検討します。)
通常成人では1日1回1錠(テネリグリプチン/カナグリフロジンとして20mg/100mg)を朝食前または朝食後に経口投与する。
剤型
錠剤
カナリア配合錠 300.30円/1錠
糖尿病であることが確立した患者に対してのみ適用を考えること。(他の疾患でないことを確認する)
食事療法・運動療法を十分に行ったうえで効果が不十分な場合に限り考慮すること。
本剤を3ヶ月投与しても食後血糖に対する効果が不十分な場合はより適切な治療への変更を検討すること。
常に投与の継続性の可否、投与量、薬剤の選択に注意すること。
低血糖を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与する時は注意すること。
本剤とSU剤、インスリン製剤または速効性インスリン分泌促進剤との併用投与で低血糖のリスクが増加するおそれがあるので注意する。
本剤投与中は腎機能を定期的に検査し経過を十分に観察することが必要である。
中等度の腎機能障害のある患者では効果が充分に得られない可能性があるので投与の必要性を慎重に判断すること。
重度の腎機能障害のある患者または透析中の末期腎不全の患者では効果が期待できないため投与しないこと。
高度の肝機能障害のある患者について、使用経験がなく安全性が確立していない。
本剤と他の糖尿病薬との併用における安全性は検討されていない。
本剤とGLP-1受容体作動薬との併用における有効性及び安全性は確立されていない。
本剤の作用により、ケトアシドーシスを起こすことがあるので、観察を十分に行い適切な対応をすること。
本剤の利尿作用により多尿・頻尿がみられることがある。また、体液量が減少することがあるので、観察を十分に行い、適切な対応(水分補給など)をすること。
排尿困難、無尿、乏尿あるいは尿閉の症状を呈する患者においては、その治療を優先するとともに他剤での治療を考慮すること。
本剤投与で体重減少が報告されているため、過度の体重減少には注意すること。
患者に対しては、低血糖症状およびその対処法について充分な説明を行うこと。
本剤投与中は、尿糖や血清1,5-AGは、血糖コントロールの参考にはならないので注意すること。
慎重投与
高度の肝機能障害のある患者(使用経験がなく安全性が確立していない)
心不全(NYHA心機能分類Ⅳ)のある患者(使用経験がなく安全性が確立されていない)
脳下垂体機能不全または副腎機能不全状態(低血糖症状があらわれることがある)
栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量の不足または衰弱状態の患者(低血糖症状があらわれることがある)
激しい筋肉運動をしている状態(低血糖症状があらわれることがある)
過度のアルコール摂取者(低血糖症状があらわれることがある)
中等度腎機能障害患者
尿路感染、性器感染のある患者(尿糖が増加することで症状が悪化するおそれがある)
脱水を起こしやすい患者(血糖コントロールが極めて不良の患者、高齢者、利尿剤(ループ利尿剤、サイアザイド系利尿剤)併用患者など)(脱水を起こすおそれがある)
腹部手術の既往または腸閉塞の既往のある患者(腸閉塞を起こすおそれがある)
QT延長を起こしやすい患者(重度の徐脈などの不整脈またはその既往歴のある患者、うっ血性心不全などの心疾患のある患者、低カリウム血症の患者など)(QT延長を起こすおそれがある)
血糖降下作用を増強する薬剤などと併用する場合は血糖降下作用の増強による低血糖症状に注意すること、(特にSU剤、インスリン製剤、速効性インスリン分泌促進剤との併用には注意する)
低血糖症状(脱力感、高度の空腹感、発汗、動悸、振戦、頭痛、知覚異常、不安、興奮、神経過敏、集中力低下、精神障害、意識障害、痙攣など)
対象薬剤
インスリン製剤、スルホニルウレア剤(SU剤)、ビグアナイド製剤(メトホルミン塩酸塩など)、速効型インスリン分泌促進薬、α-グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース、ボグリボースなど)、インスリン抵抗性改善薬(ピオグリタゾン、トログリタゾンなど)、GLP-1受容体作動薬、β-遮断剤(プロプラノロール塩酸塩、アテノロール、ピンドロールなど)、MAO阻害剤、サリチル酸製剤(アスピリン、アスピリン・ダイアルミネート、など)、など。
血糖降下作用を減弱する薬剤と併用する場合は血糖降下作用を減弱による高血糖症状に注意すること
高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭など)
対象薬剤
アドレナリン、副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモン、など
QT延長を起こすことが知られている薬剤と併用する場合にはQT延長が起こるおそれがあるので注意すること。
対症薬剤
キニジン龍酸塩水和物、プロカインアミド塩酸塩、アミオダロン塩酸塩、ソタロール塩酸塩など
ジゴキシンとの併用でジゴキシンの血中濃度が上昇したり、作用の持続があるとの報告があるので注意すること。
リファンピシン(リファジン)、フェニトイン、フェノバルビタール、リトナビル(ノービア)との併用で血中濃度が低下したり、作用時間の低下があるとの報告があるので注意すること。
高齢者などでは、一般的に生理機能が低下しているので、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
妊婦または妊娠している可能性のある婦人には本剤を投与せず、インスリン製剤などを使用すること。(動物実験で胎児への悪影響や移行が報告されている)
授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること。(動物実験で乳汁中への移行が報告されている。
低出生体重児、新生児、乳児、幼児または小児に対する安全性は確立していない。(使用経験はない)
薬としての効果
カナリアはSGLT2阻害剤とDPP-4阻害剤という異なる作用を持ち合わせた合剤で過血糖を改善することになります。
双方の薬の特性から、低血糖がおこりにくい薬になっています。
また、SGLT2阻害剤としての作用がグルコースを体外に排出させるので、体重減少効果も期待できそうです。
原則として、第一選択剤とはしません。まずは、それぞれの単剤の治療を優先します。
テネリグリプチン臭化水素酸水和物とカナグリフロジン水和物を併用して状態が安定している場合、あるいはそれぞれの単剤で効果が不十分な場合に本剤の使用を検討します。
画期的な新薬ですので、まだまだこれからの薬といえます、見守るようにしましょう。
副作用について
主な副作用としては、頻尿、血中ケトン体増加、外陰部膣カンジダ症、便秘、口渇、などである。
その他では、浮動性めまい、感覚鈍麻、裂肛、消化器カンジダ症、心筋梗塞、高血圧、起立性低血圧、多尿、膀胱炎、尿閉、湿疹、発疹、酒さ、足部白癬、耳不快感、亀頭包皮炎、外陰膣そう痒症、陰部そう痒症、血中ブドウ糖減少、疲労、熱中症、などがあります。
重大な副作用
低血糖(他の糖尿病薬(特にSU剤、インスリン製剤または速効性インスリン分泌促進剤との併用で))
腎盂腎炎、敗血症
脱水
ケトアシドーシス
腸閉塞
肝機能障害
間質性肺炎
類天疱瘡(水疱、びらんがあらわれた場合は、適切な処置をすること)
まとめ
カナリアはSGLT2阻害剤とDPP-4阻害剤という異なる作用を持ち合わせた合剤で過血糖を改善することになります。
双方の薬の特性から、低血糖がおこりにくい薬になっています。
また、SGLT2阻害剤としての作用がグルコースを体外に排出させるので、体重減少効果も期待できそうです。
原則として、第一選択剤とはしません。まずは、それぞれの単剤の治療を優先します。
テネリグリプチン臭化水素酸水和物とカナグリフロジン水和物を併用して状態が安定している場合、あるいはそれぞれの単剤で効果が不十分な場合に本剤の使用を検討します。
画期的な新薬ですので、まだまだこれからの薬といえます、見守るようにしましょう。
主な副作用としては頻尿、血中ケトン体増加、外陰部膣カンジダ症、便秘、口渇、などがあり。
また他の糖尿病用剤との併用では低血糖に注意が必要になります。
多尿、頻尿などにより脱水が疑われる場合は、それに引き続き脳梗塞を含む血栓・塞栓症などを発現したとの報告があるので注意すること。
尿に糖分がたくさん出ることで膀胱炎や尿路感染症、膣カンジダ症などの性器感染症があらわれることがあります。
まれですが、重い腎盂腎炎から敗血症に至ることもあるので注意が必要です。