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骨粗しょう症治療薬リクラストとは 他の薬との併用と副作用について

 

 

高齢化の進展により骨粗しょう症の患者は年々増加していってます。

今後もさらなる増加が推定されるため、若年のころより食事や運動の改善が望まれます。

努力の甲斐なく、骨粗しょう症の進展が見られた場合は薬物治療の早期介入が必要となります。

 

よく使用される薬剤としてはビスホスホネート製剤が多いですが、

その中で新しいリクラストというコンプライアンスの良い薬剤があります。

骨粗しょう症治療薬リクラストとは、他の薬との併用と副作用について紹介します。

 

Contents

骨粗しょう症治療薬リクラストとは

 

2016年に販売を開始している骨粗しょう症治療薬リクラストとは、新しいビスホスホネート製剤で1年に1回5mgを15分以上かけて点滴静注するとなっています。

年に1回で済む骨粗しょう症の薬は今のところこのリクラストだけですね。

年に1回で済むのは患者さんの手間を省くことになり有益ですが、一方で副作用が起きたときなどは、どうなんだろうと思ってしまいますね。薬の量を減らしたり、止めたりして改善をはかるなんてことはできなくなりますから・・対症療法で乗り切るのかな?

 

リクラストの正式名称はリクラスト点滴静注液5mgで成分名はゾレドロン酸水和物になります。

ソレドロン酸はビスホスホネート製剤ですので、主に破骨細胞の形成阻害及び機能喪失を引き起こすことで骨吸収を抑制し治療効果を発揮すると考えられています。また、1回の15分ほどの静脈注射で長期にわたり効果を示すという特徴があります。

 

ビスホスホネート製剤は内服薬及び注射製剤が広く使用されていて、患者さんのライフスタイルに合わせて薬の選択が可能になってきています。

 

内服薬のビスホスホネート製剤は、服用後30分は横になってはいけないという決まりがあります。

それは、これらのお薬が口腔・食道・胃などの消化器官粘膜に刺激性をもつためで、服用にわずらわしさを感じる患者さんもいるようです。

 

注射にはそんなことはないのですが、注射は痛いというデメリットがあります。

 

どちらを重きに置くかで選択が違ってくるでしょう。

 

ビスホスホネート製剤の注射製剤は他に、ボナロン点滴静注バッグ900ug、ボンビバ静注1mgシリンジがあります。

ボナロンは4週間に1回、ボンビバは1ヶ月に1回の注射製剤です。

単純に考えるとボナロンは年に13回、ボンビバは年に12回となります。

リクラストを含めた3剤の薬価の比較では

リクラスト:39485

ボンビバ :5059

ボナロン :4627

5059x12=60708

4627x13=60151

なので、年単位で使用することが前提で、使用薬剤のコストにだけ着目すればリクラストに軍配があがります。

年の途中でやめることになれば、タイミングによっては微妙ですけどね。

 

1年間作用が続くということは、副作用も同じように続くと考えていいと思います。

なのでリクラストを選択する際には、患者さんの状態を吟味し副作用が起きないのか考えておく必要があります。

 

他の薬との併用について

 

ビスホスホネート製剤であるリクラストとの他の骨粗しょう症治療剤との併用についてですが、

 

(1)カルシウム製剤(カルシウムを補充する)

(デノタスやアスパラCAなど)

リクラストによって低カルシウム血症が起こることがあります、血中のカルシウム濃度が高くないことを検査したうえでの投与は推奨されます。

 

(2)活性型ビタミンD3製剤(カルシウムの血中濃度を高める)

(アルファロール、ワンアルファ、ロカルトロール、エディロールなど)

リクラストによって低カルシウム血症が起こることがあります、血中のカルシウム濃度が高くないことを確認したうえで、

ビタミンDが充分あるのかを判断し、カルシウム製剤と一緒に投与することが推奨されます。

状況に応じて投与を調整します。

 

(3)ビスホスホネート製剤

(ボナロンやフォサマックなど)

同じ薬剤の服用で治療上有益であるとのエビデンスが確立されていないので推奨されません。

 

(4)選択的エストロゲンモジュレーター(SERM)

(エビスタやビビアントなど)

詳しくはこちらの参考記事で

参考記事⇒骨粗しょう症治療薬ビビアントとは 他の薬との併用と副作用について

こちらも併用により効果が高くなるというデーターがないため、原則として併用は推奨されません。

 

(5)副甲状腺ホルモン製剤

(フォルテオやテリボン)

詳しくはこちらの参考記事で

参考記事⇒骨粗しょう症治療薬フォルテオとは 注射としての効果と副作用について

併用することが治療上有用であるとのエビデンスが確率していないので併用は推奨されません。

 

(6)RANKLを標的とするヒト型モノクローナル抗体製剤(プラリア)

詳しくはこちらの参考記事で

参考記事⇒骨粗しょう症治療薬プラリアとは 他の薬との併用と副作用について

併用することが治療上有用であるとのエビデンスが確率していないので併用は推奨されません。

 

副作用について

 

リクラストの副作用発生率は59.2%と報告されています、多いですねこの数字、これも1年間続けることから来ているのかな?

 

主な副作用としては、

 

*発熱(39.3%)

*関節痛(10.8%)

*背部痛

*筋肉痛

*倦怠感

*インフルエンザ様疾患

*血中カルシウム減少

*頭痛

などです。

 

ほぼ風邪っぽい症状と思っていいですね。投与後最初の数日間に集中しているようです。

リクラストのような破骨細胞の抑制剤は血中カルシウムの減少を起こしやすいです、なぜなら人間の体の中カルシウムのほとんどが歯や骨にあり、血中のカルシウムが不足すると破骨細胞により骨から遊離させるということで解消しているんです。

それを抑えちゃうリクラストなどはそういう副作用を起こしやすいと理解できますね。

 

頻度は稀ですが重篤な副作用としては

 

*急性腎不全、間質性腎炎、ファンコニー症候群

*低カルシウム血症

*顎骨壊死、顎骨骨髄炎

*外耳道骨壊死

*大腿骨転子下及び近位大腿骨骨幹部の非定型骨折

*アナフィラキシー

 

があります。

リクラストは腎臓に負担をかけてしまうので急性腎不全や間質性腎炎などを起こすこともあるようです。

また、ビスホスホネート製剤に共通の顎骨壊死などの副作用が起こりますから注意が必要です。

このことについてはこの参考記事

参考記事⇒ビスホスホネート製剤とは 顎骨壊死という副作用についてと対応策

 

 

リクラストには次の場合には禁忌となっていて使えないことになります。

 

*リクラストの成分又は他のビスホスホネート製剤に対し過敏症のある場合

*重度の腎障害(クレアチンクリアランスが35ml/min未満)の場合

*脱水状態(高熱、高度な下痢、.及び嘔吐など)の場合

*低カルシウム血症の場合

*妊娠または妊娠している可能性がある場合(動物実験で催奇形性などの可能性が示唆されている)

 

 

まとめ

リクラストはなるべく投与回数を減らしたい方や内服薬の飲み方ができない方に向いていると思われます。

一方で腎機能が悪い方や脱水状態になりやすい方、低カルシウム血症の方には使えないですし、歯科治療の最中の人は極力使うことを避けた方がいいかもしれません。

他の治療薬との併用はカルシウム製剤とか活性型ビタミンD3製剤との併用は場合により考えても良さそうです。

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