小さいころに水痘にかかった人の中で、治療した後に疲れやストレスなどで免疫力が低下したときに発症することがある帯状疱疹。
その帯状疱疹にかかった場合に、できるだけ早く的確な治療を開始しないと、神経痛が治まらないことがあります。
そういうときには帯状疱疹後神経痛を発症していることがあります。
帯状疱疹後神経痛とは その時に処方される薬とその効果などについて解説します。
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帯状疱疹後神経痛とは
帯状疱疹はヘルペスウイルスの1種、水痘・帯状疱疹ウイルスによって起こります。
大抵は子供のころですが、水痘・帯状疱疹ウイルスに初めて感染すると水ぼうそうとして発症します。
治療により水ぼうそうが治ったあと、水痘・帯状疱疹ウイルスは体内の神経節に潜んでいます(潜伏感染)。
通常はあまり表には出てこないのですが。
その後、加齢やストレス、過労などが引き金となってウイルスに対する免疫力が低下すると、かくれていたウイルスが再び活動をはじめ、神経を伝わって皮膚までやってきて、帯状疱疹として発症することになります。
帯状疱疹急性期(痛みが強くなってきたころ)に重症化している場合や、痛みがひどい場合、皮膚の感覚異常があった場合は、次第に痛みの種類が変わりひどくなることがあるといわれています。
その痛みは、下着が擦れるなどのわずかな刺激で強い痛みをともなったり(アロディニア)、また、楊枝で軽く押さえるような弱い刺激でも強く痛みを感じたり(痛覚過敏)することもある。
痛みの症状は「うづくような、灼けるような、ビーンと走るような」と表現されることがあります。
この状態のことを帯状疱疹後神経痛といいます。
帯状疱疹になって3日以内に抗ウイルス薬により治療を始めれば、帯状疱疹後神経痛になりにくいといわれています。
また帯状疱疹になった人の1割くらいが帯状疱疹後神経痛になるといわれています。
おそらく、この神経痛の発症は免疫力の強さの問題で、免疫力が強い人はなりにくく、弱い人がなりやすい症状であると思います。
年齢が高いことも発症する要因の1つでもあります。
その時に処方される薬
帯状疱疹後神経痛の治療には薬物療法、理学療法、神経ブロック、鍼灸、心理療法などがあります。
ガイドラインでは薬物療法が治療の中心であり、帯状疱疹発症1年以内であれば神経ブロックを1度は考慮してもよいとされています。
また、理学療法や心理療法も併用することがあります。
ここでは薬物療法について解説することにします。
第一選択薬の単独あるいは併用で痛みが低下しなかった場合には、第二選択薬および第三選択薬の使用を検討します。
最初から痛みがひどく迅速な鎮痛効果が必要な場合には、第三選択薬を単独使用か第一選択薬の1つと併用する。
第一選択薬
1)三環系抗うつ薬
ノリトレン(ノルトリブチリン)
トリプタノール(アミトリブチリン)
トフラニール(イミプラミン)
2)カルシウムチャンネルα2δリガンド
ガバペン(ガバペンチン)
リリカ(プレガバリン)
3)ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液含有製剤
ノイロトロピン
第二選択薬
*サインバルタ(デュロキセチン)
*メキシチール(メキシレチン)
*有痛性糖尿病性ニューロパチーに適応とされていますが、実際の臨床では併用されることがあります。
第三選択薬(麻薬性鎮痛剤)
フェンタニル
モルヒネ
オキシコンチン・オキノーム(オキシコドン)
トラマール(トラマドール)
レペタン(ブプレノルフィン)
その効果などについて
患者さんの状況により、治癒するにのに長期を要することがあります、場合によっては10年とかいうこともあるようです。
いろんな治療と組み合わせ、根気よく続ける必要があります。
帯状疱疹後神経痛は1年以内に治療を開始しないと、どの薬を使っても痛みをゼロにすることは難しいとされています。
1年以上経っていると無痛にすることを治療目標にするのではなく、痛みの低減とQOLの向上を目標とする。
場合よっては痛みがなくなることもあるかなというくらいのスタンスをとることになります。
一般的に帯状疱疹後神経痛は高齢者がなることが多いので、第一選択薬の三環系抗うつ薬の消化器症状の副作用とカルシウムチャンネルα2δリガンドのふらつきの副作用に注意する必要がある。
まとめ
帯状疱疹後神経痛は一度起こってしまい重症化すると、なかなか完全に治ることは難しいとされています。
なので帯状疱疹後神経痛を起こさないようにすることがリスク軽減につながると思えます。
帯状疱疹後神経痛を防ぐには帯状疱疹が重症化しないように対応することが重要となります。
なので、帯状疱疹の発症がわかれば、できるだけ早く医療機関で抗ウイルス薬を使った適切な治療を始めなけれなならないでしょう。