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骨粗しょう症治療薬ボナロンとは 薬としての効果と副作用について

 

 

近年、骨粗しょう症の治療薬はいろいろ開発されバリエーションが豊富です。

 

それらの薬には、それぞれメリットやデメリットがあり、患者さんの状況に応じて最良のものを選択する必要があります。

 

2001年に発売されたボナロンという内服薬があります。

同じ成分でフォサマックという製品もあります。

 

骨粗しょう症治療薬ボナロンとは、薬としての効果と副作用について紹介します。

 

Contents

骨粗しょう症治療薬ボナロンとは

 

ボナロン錠は2001年ごろ日本で発売されたビスホスホネート製剤で、そのころは最も期待されていた骨粗しょう症治療薬です。

 

ビスホスホネート製剤とは、破骨細胞の作用を抑え骨の分解を抑えることで相対的に骨量の改善を図ります。

積極的な治療というよりも守りの治療という感じですね。

 

1週間に1回服用するだけでいい35mg製剤も発売され、毎日服用する5mg製剤と比べてかわりないことが証明され薬剤コンプライアンスの改善が期待されます。

他に嚥下困難の人が多い高齢者にも飲み込みやすいゼリー状の35mg製剤も発売されています。

また、ボナロンには1ヶ月に1回ですむ消化器症状が回避できる点滴静注製剤も発売されていて服用が困難な患者さんなどに使うことが可能ですが、通院し点滴してもらう必要があります。

別メーカーで同成分のフォサマック錠が発売されていますが、ゼリー状の製剤や点滴静注製剤はありません。

 

各薬価は以下のとおりです。

ボナロン錠5mg:91.60円、フォサマック錠5mg:91.60円

ボナロン錠35mg:591.4円、フォサマック錠35mg:591.70円

ボナロン経口ゼリー(35mg):1151.70円、

ボナロン点滴静注バック900μg:4627.00円

 

発売が早かったボナロンなどにはジェネリック医薬品がすでに発売されているので、経済的負担をやわらげることが可能です。

今の時点では5mg錠と35mg錠、点滴静注製剤ではジェネリック医薬品を選択可能です。

 

 

効能効果

骨粗しょう症

本剤の使用にあたっては、日本骨代謝学会の診断基準を参考に、骨粗しょう症との診断が確定している患者を対象とすること。

 

 

用法用量

通常、成人にはアレンドロン酸として5mgを1日1回(35mgを1週間に1回)、起床時に十分量(約180ml)の水(又はぬるま湯)とともに経口投与する。

なお、服用後少なくとも30分は横にならず、飲食(水を除く)並びに他の薬剤の経口摂取も避けること。

 

35mgの1週間に1回を選べばまだましですが、内服のビスホスホネート製剤は服用に神経を使います。

 

水以外の飲料や食物や他の薬剤と一緒に服用すると吸収を妨げることがあるので、起床後、最初の飲食前に服用し、かつ服用後少なくとも30分は水以外の飲食は避ける。

食道及び局所への副作用の可能性を低下させるため、速やかに胃内へと到達させることが重要なので以下の点に注意する。

・口腔咽頭刺激の可能性があるので、本剤を噛んだり又は口中で溶かしたりしないこと。

・十分量(約180ml)の水(又はぬるま湯)とともに服用し、服用後30分は横にならないこと。

・就寝時または起床前に服用しないこと。

 

35mg製剤などは1週間に1回だと忘れる可能性が少しあるので、よく見るカレンダーなどに服用予定の印などをつけておくと良いでしょう。

飲み忘れた場合は、翌日に1錠服用すること。

 

ボナロンにはこのような問題を解決した点滴静注製剤がありますので1ヶ月に1回通院し点滴してもらうことで解決が可能です。

 

ボナロン点滴静注バッグ900μg:通常、成人には4週間に1回アレンドロン酸として900μgを30分以上かけて点滴静注する。

 

 

使用上の注意

使用してはいけない(禁忌)場合

・食道狭窄又はアカラシア(食道弛緩不能症)などの食道通過を遅延させる障害のある人(内服薬)

 

・服用時に上体を30分以上起こしていることのできない人(内服薬)

 

・ボナロンの成分または他のビスホスホネート製剤に対し過敏症の既往歴のある人

 

・低カルシウム血症の患者

 

慎重に投与する場合

1.嚥下困難、食道炎、胃炎、十二指腸炎、または潰瘍等の上部消化管障害がある患者(上部消化管粘膜に対し、刺激作用を示すことがあるので悪化させるおそれがある。)(内服薬)

 

2.重篤な腎障害のある場合(使用経験が少なく安全性が確立されていない。)

 

基本的な注意

1.上部消化管に関する副作用が報告されているので、これらの症状がでた場合は、本剤の服用を中止して医師の診察をうけること。(内服薬)

 

2.骨粗しょう症の発症にエストロゲン欠乏、加齢以外の要因が関与していることもあるので考慮すること。

 

3.患者には、食事等から十分なカルシウムを摂取させること。

 

4.低カルシウム血症のある患者は、本剤投与前に低カルシウム血症を治療すること。また、ビタミンD欠乏症又はビタミンD代謝異常のようなミネラル代謝障害があれば、あらかじめ治療すること。

 

5.ビスホスホネート製剤による治療を受けている患者において、顎骨壊死・顎骨骨髄炎があらわれることがある。

リスク因子としては、悪性腫瘍、化学療法、血管新生阻害薬、コルチコステロイド治療、放射線療法、口腔の不衛生、歯科処置の既往等が知られています。

本剤の投与開始前は、必要に応じて、適切な歯科検査を受け、侵襲的な歯科処置をできるだけ済ませておくようにしましょう。

本剤投与中に侵襲的な歯科処置が必要になったとき休薬等を考慮する。

口腔内を常に清潔に保ち、定期的な歯科検査を受け、本剤の服用を歯科医師に告げ侵襲的な歯科処置をできるだけ避けるようにする。

異常が認められたときには、直ちに歯科・口腔外科を受診すること。

 

6.ビスホスホネート製剤の使用で外耳道骨壊死が発現したとの報告がある。報告の中には、耳の感染や外傷に関連している場合もみられることから、
外耳炎、耳漏、耳痛等の症状が続く場合には、耳鼻咽喉科を受診すること。

 

7.ビスホスホネート製剤の長期使用で、非外傷性の大腿骨転子下及び近位大腿骨骨幹部の非定型骨折がみられたとの報告があります。

 

 

相互作用

併用注意(内服薬)

水以外の飲み物(カルシウム、マグネシウム等の特に多いミネラルウオーターを含む)や食物、

多価陽イオン(カルシウム、鉄、マグネシウム、アルミニウム等)含有製剤:カルシウム製剤、マグネシウム製剤、制酸剤等と同時に服用しない。

同時に服用すると本剤の吸収に影響を与えるおそれがあるので、本剤の服用後少なくとも30分は上記の飲食物や薬剤を服用しないようにする。

 

その他注意

・妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する。(使用経験がない)

 

・また妊娠する可能性のある婦人にも、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する。

 

・授乳中の婦人には、本剤投与中は授乳を中止させること。

 

・小児等に対する安全性は確立していない。(使用経験がない)

 

・過量投与に際しては、低カルシウム血症、低リン酸血症、上部消化管障害(胃不調、胸やけ、食道炎、胃炎、または胃潰瘍等)が発現する可能性がある。(内服薬)

吸収を抑えるために、多価陽イオンを含有する制酸剤あるいは牛乳を投与する。また、未吸収薬剤を除去するために胃洗浄を考慮する。

食道に対する刺激の危険性があるので嘔吐を誘発しないために立位か上体を起こす形をとらせる。

 

薬としての効果

 

骨粗しょう症のお薬にはいろいろありますが、ビスホスホネート製剤の位置はよく効く方の部類に入ります。

 

ボナロン(フォサマック)は、ボノテオ、アクトネルやベネットなどと比べても骨吸収抑制作用、骨量増加作用は同等で、骨折抑制効果は遜色ないと言われています。

 

ボナロンは骨密度増加効果、椎体骨折と大腿骨近位部を含めた非推体の骨折をともに防止します。(GradeAです。)

 

ステロイド(プレドニゾロン換算で5mg/日、3ヶ月間以上)投与時の骨折予防薬として最大90%程度の骨折予防効果を有し、第一選択薬。

 

骨密度減少の程度の重度な患者や既骨折例などの重症骨粗しょう症での骨折防止に有効です。

 

骨吸収抑制効果が強いため、骨マーカーでの効果判定が容易なくらい。

 

副作用について

 

国内での臨床試験でのデーターでの主な副作用は

腹部不快感(1.1%)

上腹部痛(1.0%)

悪心(0.8%)

消化不良(0.5%)

下痢(0.5%)

等でした。

 

重大な副作用

1.食道・口腔内障害(内服薬)

(出血性も含む)食道障害・食道狭窄・食道潰瘍・食道びらん(頻度不明)、(出血性も含む)食道炎(0.3%)、口腔内潰瘍(頻度不明)

 

2.胃・十二指腸障害(内服薬)

(出血性)胃・十二指腸潰瘍(0.3%)、出血性胃炎(0.2%)

 

2.顎骨壊死・顎骨骨隨炎(0.03%)

 

3.外耳道骨壊死(頻度不明)

 

4.大腿骨転子下及び近位大腿骨骨幹部の非定型骨折(頻度不明)

 

5.肝機能障害、黄疸(GOT、GPT等の上昇を伴う)(頻度不明)

 

6.低カルシウム血症(痙攣、テタニー、しびれ、失見当識、QT延長等を伴う)(0.09%)

 

7.中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群などの皮膚障害(頻度不明)

 

 

その他の副作用

 

<頻度不明>

「鼓腸放屁」「口内乾燥」「嚥下困難」「歯肉腫脹」「紅斑」「湿疹」「発熱」「貧血」「白血球数減少」「血小板数減少」「頻尿」「排尿困難」「回転性めまい」「知覚減退」「不眠」「血清リン低下」「血清カリウム上昇」「ぶどう膜炎」「上強膜炎」「血管浮腫」「LDH上昇」「総コレステロール値上昇」「血清アルブミン低下」

*補足、ぶどう膜炎、上強膜炎は眼の疾患です。

 

<1%未満>

「発疹」「かゆみ」「脱毛」「じんましん」

「腹痛」「胃酸逆流」「嘔吐」「嘔気」「下痢」「便秘」「腹部膨満感」「消化不良」「食欲不振」「口内炎」「咽喉頭部痛」「咽喉頭不快感」「胃炎」

「肝機能異常」

「BUN上昇」

「浮動性めまい」「頭痛」

「関節痛」「背(部)痛」「筋肉痛」「骨痛」「筋痙攣」

「眼症状(かすみ、異和感等)」「強膜炎」

「胸痛」「倦怠(感)」「味覚倒錯」「末梢性浮腫」「顔面浮腫」「動悸」「脱力(感)」「発熱」「気分不良」「ほてり(顔面紅潮、熱感等)」「CK上昇」「血圧上昇」

「GOT上昇」「GPT上昇」「γ-GTP上昇」「ビリルビン上昇」「Al-p上昇」「LDH上昇」

 

<1~5%未満>

「胃不快感・胃重感・腹部不快感」「胃痛・心窩部痛」

 

まとめ

 

ボナロン錠やフォサマック錠やボナロン経口ゼリーは骨粗しょう症の治療薬の中で全体的にみれば効果のある方のお薬ですが。

服用にあたってはいくつかの制限があります。

・起床時(朝食の30分以上前)に服用する必要がある。

・約180mlの水(又はぬるま湯)とともに服用する必要がある。

・服用後少なくとも30分は横にならず、他のお薬や飲食物も食べることができない。

これらの制限が守れない人は他の薬剤を選択する必要があります。

 

ボナロンには点滴静注で使える薬剤があるので、上記のことを回避することが可能です、ただ、4週間に1回通院する必要があります。

 

副作用はいろいろありますが「顎骨壊死・顎骨骨隨炎」などに注目が集まっています。

参考記事⇒ビスホスネート製剤とは 顎骨壊死という副作用についてと対応策

 

 

4週間の薬剤費(概算)

5mg錠:2570円

35mg錠:2370円

35mgゼリー:4610円

点滴静注バッグ:4627円

5mg錠、35mg錠、点滴静注バックにはジェネリック医薬品があります。ほぼ60%くらいです。

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