近年、骨粗しょう症の治療薬はいろいろ開発されバリエーションが豊富ですよね。
それらの薬には、それぞれメリットやデメリットがあり、患者さんの状況に応じて最良のものを選択する必要があります。
2007年に発売されたベネットという内服薬があります。
同じ成分でアクトネルという製品もあります。
骨粗しょう症治療薬ベネットとは、薬としての効果と副作用について紹介します。
骨粗しょう症治療薬ベネットとは
ベネット錠は2007年ごろ日本で発売されたビスホスホネート製剤で、ボナロンなどの次に出て骨粗しょう症治療薬の選択肢が増えたのを覚えています。
ビスホスホネート製剤とは、破骨細胞の作用を抑え骨の分解を抑えることで相対的に骨量の改善を図ります。
積極的な治療というよりも守りの治療という感じですね。
1週間に1回服用するだけでいい17.5mg製剤が発売され、毎日服用する2.5mg製剤と比べてかわりないことが証明され薬剤コンプライアンスの改善が期待されます。
他に月に1回でいい75mg製剤も発売されていて消化器症状の回避や薬剤コンプライアンスの改善が期待されます。
別メーカーで同成分のアクトネル錠が発売されています。
各薬価は以下のとおりです。
ベネット錠2.5mg:101.20円、アクトネル錠2.5mg:100.80円
ベネット錠17.5mg:628.10円、アクトネル錠17.5mg:620.70円
ベネット錠75mg:2804.20円、アクトネル錠75mg:2770.60円
発売が早い方のベネットやアクトネルなどにはジェネリック医薬品がすでに発売されているので、経済的負担をやわらげることが可能です。
今の時点では2.5mg錠と17.5mg錠ではジェネリック医薬品を選択可能です。
効能効果
骨粗しょう症
本剤の使用にあたっては、日本骨代謝学会の診断基準を参考に、骨粗しょう症との診断が確定している患者を対象とすること。
ベネット(アクトネル)の17.5mg製剤には骨ベーチェット病の適用もあります。
用法用量
通常、成人にはリセドロン酸として2.5mgを1日1回(17.5mgを1週間に1回、75mgを1ヶ月に1回)、起床時に十分量(約180ml)の水(又はぬるま湯)とともに経口投与する。
なお、服用後少なくとも30分は横にならず、飲食(水を除く)並びに他の薬剤の経口摂取も避けること。
17.5mgを1週間に1回、75mgを1ヶ月に1回などを選べばまだましですが、内服のビスホスホネート製剤は服用に神経を使います。
水以外の飲料や食物や他の薬剤と一緒に服用すると吸収を妨げることがあるので、起床後、最初の飲食前に服用し、かつ服用後少なくとも30分は水以外の飲食は避ける。
投与にあたっての注意
・起床後最初の飲食前に服用し、かつ服用後少なくとも30分は水(Ca、Mg等の含量が多くない)以外の飲食は避けること。
・口腔咽頭刺激の可能性があるので、本剤噛んだり又は口中で溶かしたりしないこと。
・十分量(約180ml)の水(又はぬるま湯)とともに服用し、服用後30分は横にならないこと。
・就寝時または起床前に服用しないこと。
・食道疾患の症状があらわれた場合には主治医に相談する。
・原則として毎月同じ日に服用する、飲み忘れた場合には、翌日に服用し、次の月にはまた同じ日に服用すること。(75mg製剤)
17.5mgを1週間に1回、75mgを1ヶ月に1回などは忘れる可能性が少しあるので、よく見るカレンダーなどに服用予定の印などをつけておくと良いでしょう。
飲み忘れた場合は、翌日に1錠服用すること。
ベネットなどには1ヶ月に1回でいい75mg錠のような製剤がありますので服用の問題のためには検討してもいいかもしれません。
使用上の注意
使用してはいけない(禁忌)場合
・食道狭窄又はアカラシア(食道弛緩不能症)などの食道通過を遅延させる障害のある人
・服用時に上体を30分以上起こしていることのできない人
・ベネット(アクトネル)の成分または他のビスホスホネート製剤に対し過敏症の既往歴のある人
・低カルシウム血症の患者
・妊婦又は妊娠している可能性のある婦人
・高度な腎障害のある患者(クレアチニンクリアランス値が約30ml/分未満)
慎重に投与する場合
1.嚥下困難がある患者又は食道、胃、十二指腸の潰瘍又は食道炎等の上部消化管障害がある患者(食道通過の遅延または上部消化管粘膜に対し、刺激作用を示すことがあるので悪化させるおそれがある。)
2.腎障害のある場合(排泄が遅延するおそれがある。)
重要な基本的注意
1.患者には、食事等から十分なカルシウムやビタミンDを摂取させること。ただし、カルシウム補給剤及びカルシウム、アルミニウム、マグネシウム含有製剤は、本剤の吸収を妨げることが考えられるので、服用時間を変えた服用すること。
2.骨粗しょう症の発症にエストロゲン欠乏、加齢以外の要因が関与していることもあるので考慮すること。
3.ビスホスホネート製剤による治療を受けている患者において、顎骨壊死・顎骨骨髄炎があらわれることがある。
リスク因子としては、悪性腫瘍、化学療法、血管新生阻害薬、コルチコステロイド治療、放射線療法、口腔の不衛生、歯科処置の既往等が知られています。
本剤の投与開始前は、必要に応じて、適切な歯科検査を受け、侵襲的な歯科処置をできるだけ済ませておくようにしましょう。
本剤投与中に侵襲的な歯科処置が必要になったとき休薬等を考慮する。
口腔内を常に清潔に保ち、定期的な歯科検査を受け、本剤の服用を歯科医師に告げ侵襲的な歯科処置をできるだけ避けるようにする。
異常が認められたときには、直ちに歯科・口腔外科を受診すること。
4.ビスホスホネート製剤の使用で外耳道骨壊死が発現したとの報告がある。報告の中には、耳の感染や外傷に関連している場合もみられることから、
外耳炎、耳漏、耳痛等の症状が続く場合には、耳鼻咽喉科を受診すること。
5.ビスホスホネート製剤の長期使用で、非外傷性の大腿骨転子下及び近位大腿骨骨幹部の非定型骨折がみられたとの報告があります。
相互作用
併用注意(内服薬)
水以外の飲み物(カルシウム、マグネシウム等の特に多いミネラルウオーターを含む)や食物、
多価陽イオン(カルシウム、鉄、マグネシウム、アルミニウム等)含有製剤:カルシウム製剤、マグネシウム製剤、制酸剤等と同時に服用しない。
同時に服用すると本剤の吸収に影響を与えるおそれがあるので、本剤の服用後少なくとも30分は上記の飲食物や薬剤を服用しないようにする。
その他注意
・妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、投与しないこと。
・また妊娠する可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する。
・授乳中の婦人には、本剤投与中は授乳を中止させること。
・低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない。(使用経験がない)
・過量投与に際しては、低カルシウム血症、上部消化管障害(胃不調、胸やけ、食道炎、胃炎、または胃潰瘍等)が発現する可能性がある。
吸収を抑えるために、多価陽イオンを含有する制酸剤あるいは牛乳を投与する。また、未吸収薬剤を除去するために胃洗浄を考慮する。
低カルシウム血症に対しては、必要に応じてカルシウムの静脈投与などの処置を行う。
薬としての効果
骨粗しょう症のお薬にはいろいろありますが、ビスホスホネート製剤の位置はよく効く方の部類に入ります。
ベネットやアクトネルはボノテオ、リカルボンなどと同じ第三世代のビスホスホネート製剤になります。
一応、ボナロン、フォサマック、ボノテオ、リカルボンなどよりも骨吸収抑制は効果が高いとされています。
ベネットは骨密度増加効果、椎体骨折と大腿骨近位部を含めた非推体の骨折をともに防止します。(GradeAです。)
ステロイド(プレドニゾロン換算で5mg/日、3ヶ月間以上)投与時の骨折予防薬として最大90%程度の骨折予防効果を有し、第一選択薬。
骨密度減少の程度の重度な患者や既骨折例などの重症骨粗しょう症での骨折防止に有効です。
骨吸収抑制効果が強いため、骨マーカーでの効果判定が容易なくらい。
副作用について
国内での臨床試験でのデーターでの主な副作用は容量の違う錠剤で頻度や症状はまちまちですが
腹部不快感、上腹部痛、悪心、嘔吐、消化不良、便秘、胃炎、下痢、発熱、倦怠感、頭痛、背部痛、関節痛、筋肉痛、四肢痛、無力症
等でした。
重大な副作用
1.上部消化管障害
食道穿孔、食道狭窄、食道潰瘍、胃潰瘍、食道炎、十二指腸潰瘍など
2.肝機能障害、黄疸(GOT、GPT等の上昇を伴う)
2.顎骨壊死・顎骨骨隨炎
3.外耳道骨壊死
4.大腿骨転子下及び近位大腿骨骨幹部の非定型骨折
その他の副作用で目立っていたのは
75mg製剤では
下痢(5%以上)
17.5mg製剤では
胃不快感(5%以上)
2.5mg製剤では
胃不快感(5%以上)
その他はそれぞれの容量でたくさんありますので割愛させていただきます。
消化器官の症状が多いですね。
まとめ
ベネット(アクトネル)錠は骨粗しょう症の治療薬の中で全体的にみれば効果のある方のお薬ですが。
服用にあたってはいくつかの制限があります。
・起床時(朝食の30分以上前)に服用する必要がある。
・約180mlの水(又はぬるま湯)とともに服用する必要がある。
・服用後少なくとも30分は横にならず、他のお薬や飲食物も食べることができない。
これらの制限が守れない人は他の薬剤を選択する必要があります。
ベネットなどには1ヶ月に1回でいい75mg錠のような製剤がありますので服用の問題のためには検討してもいいかもしれません。
副作用はいろいろありますが「顎骨壊死・顎骨骨隨炎」などに注目が集まっています。
参考記事⇒ビスホスネート製剤とは 顎骨壊死という副作用についてと対応策