日常生活でおしっこが急にしたくなったことがありませんか。
問題がおしっこだけに相談しずらいということはないでしょうか。
ちょっと不便を感じていたらお医者さんに相談してもいいかもしれませんよ。
新しい副作用の少ないお薬が出ています。
過活動膀胱治療薬ベオーバとは、薬としての効果と副作用について紹介します。
Contents
過活動膀胱治療薬ベオーバとは
日本国内では杏林製薬とキッセイ薬品が2016年ごろより共同で開発を始めていた過活動膀胱の治療薬の1つである「ベオーバ」。
杏林製薬が2018年9月21日に厚生労働省より製造販売承認をとったとのことです。
ライセンス契約は2014年7月に杏林製薬がメルク社とかわしています。
要は日本での開発・販売の権利を得ていると言えます。
まだ、発売したての新薬ですから、ジェネリック医薬品が発売されていません。
ベオーバの成分名はビベグロンです。
過活動膀胱と言っても何?と思われるかもしれませんね。
「急におしっこがしたくなる」
「夜間に何度もトイレに起きる」
「すぐにまたおしっこがしたくなる」
「我慢しきれず漏らすことも」
なんてことがあれば過活動膀胱の症状かもしれないなと思いましょう。
上記のような症状は頻尿、夜間頻尿、尿意切迫感、尿漏れとも表現できます。
このような症状に苦しんでいる人が日本国内に1040万人もいると推定されている。
今後、高齢化が進むにつれ、もっと増えることになります。
なんとかしないといけないですね。
尿が溜まるまでに膀胱が収縮してしまう、つまりは過活動な膀胱なのです。
なぜ、そのようになるのかは原因はいろいろあります。
「トイレが近い」の原因となるものには、
膀胱炎、前立腺炎、前立腺肥大症、腹圧性尿失禁、膀胱結石、膀胱や前立腺のがん、間質性膀胱炎、糖尿病、脳卒中の後遺症、脊髄の病気、睡眠障害、降圧利尿薬・α遮断薬の副作用、過剰な水分摂取、精神的な緊張や不安、加齢など
さまざまです。
「トイレが近い」の原因をいろいろ書いたので、中には怖いものもありますが、気にはしないでください、ありえるものを網羅したので、あなたがそうだとは限りませんから。
このようなことが原因でトイレが近くなるのですが、この原因をつきとめて治療をしたところで改善がされないことがあるのです。
その時は、過活動膀胱になっているんじゃと疑いましょう。
過活動膀胱の原因ははっきりしていません、加齢、精神的なストレス、膀胱のセンサーが過敏になってる、脳の中にある排尿をつかさどる部分や自律神経の乱れ、などが複雑にからみあっているのでしょう。
さて、過活動膀胱と診断された場合に、男性の薬物治療においては前立腺肥大症がかかわっていることが多く、α1アドレナリン受容体阻害薬を投与することが多いです。
前立腺肥大症がおさまっていけば、過活動膀胱の症状もしだいにおさまっていくことが多いのですが、そうでない人もいるので、その時は抗コリン薬などで治療となっています。
女性の薬物治療においては抗コリン薬を投与することが一般的でした。
膀胱にあるムスカリン受容体に作用してアセチルコリンの神経伝達を阻止することで膀胱の異常な収縮が起きないようにするための薬になります。
ところが、膀胱以外にもムスカリン受容体が存在するために、口のかわきや便秘、眼の調節がうまくいかないなどの副作用があり問題となっていました。
そのために新たに登場したのがβ3アドレナリン受容体作動薬になります。
ただ、新しくでたこの薬には脈拍数の増加、血圧の変動などの心血管系に影響することが知られていて、かつ、多剤を服用することが多い高齢者では薬物相互作用に注意する必要がありました。
そのような注意点を改善した新しいβ3アドレナリン受容体作動薬である「ベオーバ」が発売されることになりました。
禁忌
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
用法用量
過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿および切迫性尿失禁
通常、成人にはビベグロンとして1日1回50mgを食後に経口投与する。
剤型
錠剤
ベオーバ錠50mg 円/1錠(2018年11月薬価収載予定)
慎重投与
重篤な心疾患のある患者(心拍数増加などにより、症状が悪化するおそれがある)
高度の肝機能障害のある患者(本剤の血中濃度が上昇するおそれがある)
下部尿路閉塞疾患(前立腺肥大症など)を合併している患者では、それを優先して治療すること。
アゾール系抗真菌剤(イトラコナゾール(イトリゾール)など)、HIVプロテアーゼ阻害剤(リトナビル(ノービア)など)との併用で本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
リファンピシン(リファジン)、フェニトイン(アレビアチン)、カルバマゼピン(テグレトール)との併用で本剤の作用が減弱することがある。
高齢者は生理機能が低下していることが多いので、副作用が出やすく、本剤の投与には慎重に対応すること。
妊娠または妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ投与すること。
授乳中の婦人には投与しないことが望ましいが、やむを得ず投与する場合は、授乳を中止させること。(動物実験で乳汁中へ移行することが報告されている)
低出生体重児、新生児、乳児、幼児または小児などに対する安全性は確立していない。(使用経験がない)
薬としての効果
従来のβ3アドレナリン受容体作動薬(ベタニス)には警告として「生殖可能な年齢の患者への投与の回避」が記されていて、投与しずらいことがありましたが、「ベオーバ」には記載がありません。
また、高血圧や頻脈増加、QT延長という心血管系の副作用もベオーバでは軽減されていると考えられています。
そして、「ベオーバ」には投与禁忌(投与できない)となる併用薬がないことも使用がしやすい薬剤と言えます。
もちろん、併用注意の薬も少ないです。
ベタニスとの治療効果の比較に対するデーターは明確なものはありません。
プラゼボとの比較検討試験からほぼ同じくらいとしか判断できないです。
副作用について
主な副作用としては、口内乾燥、便秘、尿路感染(膀胱炎など)、残尿量増加、肝機能障害、CK上昇、等である。
その他では、傾眠、頭痛、めまい、不眠症、腹痛、悪心、下痢、消化不良、胃炎、胃食道逆流性疾患、動悸、排尿困難、QT延長、膀胱痛、遺尿、発疹、多汗症、羞明(強い光を受けたときに違和感を感じる)、眼乾燥、霧視、γ-GTP上昇、GPT上昇、GOT上昇、Al-P上昇、疲労、ほてり、浮腫、高脂血症、筋肉痛、などがあります。
重大な副作用
尿閉
まとめ
ベオーバはβ3アドレナリン受容体作動薬としてベタニスに続く新薬です。
ベタニスでは使いにくい面もあったので7年の時間をかけて、改善した薬剤が登場となりました。
併用禁忌・併用注意薬が少なく、副作用も少なく、生殖器への影響も少ないベオーバの今後の動向に期待したいですね。