「若いころにはこんなことはなかった」とかいう言葉を年配の方から聞くことがあります。
ちょっとうっかりは若いころでもありますが、年をとるにつれて”物忘れ”をすることが増えてくる場合があります。
そんな物忘れの予防の助けになりそうな製品がOTC薬で2017年10月10日に発売されたようです。
遠志の恵みに含まれるオンジ、その薬効と配合される漢方製剤について解説します。
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遠志の恵みに含まれるオンジ
遠志(オンジ)とはイトヒメハギの根茎を生薬として用います。
北米には同属植物のセネガがあります。
イトヒメハギとは、中国北部からシベリヤなどに分布する多年草である。
日本にはもともと無くて、中国などから持ってきたものが生えているだけである。
母校の植物園(漢方)にはたぶん生えているでしょう。
草丈は20~40cmくらいで、細い先の尖った葉をつけ、5~7月ごろに淡青色から青紫色の花を咲かせます。
根に含まれる成分としては、オンジサポニンA~G、トリメトキシケイヒ酸、キサントン誘導体などのサポニン類があります。
今回、”遠志の恵み”(第3類医薬品)として発売されたものは、遠志(オンジ)のもつ健忘を改善するという作用に期待して、それを服用しやすい錠剤にしたものであります。
生薬の独特の風味抑えたり、小さな錠剤に凝縮したりしてコンプライアンスをはかっている。
40代以降の人の物忘れに対する不安があることをアンケートなどでつかんで、その改善のために役立つものを作りだせないかと考えた結果、生薬であるオンジのOTC薬への投入になったのでしょう。
生薬というイメージの力を使おうと思っての製品化だと私は思っています。
実際の効き目としては、なんとも言えないでしょう。
結果論になってしまうでしょう。
オンジの薬効
遠志(オンジ)の作用としては強精、強壮、去痰、鎮静、利尿が主なものでしょう。
いろんなところを調べると、鎮静がらみで、物忘れ(健忘)を改善する作用があると書かれているものがあります。
他には、動悸を抑える、不眠の改善、咳止め、乳腺炎を改善、腫れものの改善、皮膚の化膿を改善などがありました。
どの薬効がどの程度なのかは、未知数だとおもいます。
人によれば、ばっちりはまる人もいるだろうし、今一つ効かないという人もいるでしょう。
漢方系の薬はそんな感じでしょう。
配合される漢方製剤について
次のようなものがあります。
帰脾湯
黄耆(オウギ)、酸棗仁(サンソウニン)、人参(ニンジン)、白朮(ビャクジュツ)、茯苓(ブクリョウ)、遠志(オンジ)、大棗(タイソウ)、当帰(トウキ)、甘草(カンゾウ)、生姜(ショウキョウ)、木香(モッコウ)、竜眼肉(リュウガンニク)
の組み合わせで、ある体質の人の、動悸、寝汗がある場合の神経症やうつによる不眠や不安、貧血などに用いたりします。
加味帰脾湯
黄耆(オウギ)、柴胡(サイコ)、酸棗仁(サンソウニン)、蒼朮(ソウジュツ)、人参(ニンジン)、茯苓(ブクリョウ)、遠志(オンジ)、山梔子(サンシシ)、大棗(タイソウ)、当帰(トウキ)、甘草(カンゾウ)、生姜(ショウキョウ)、木香(モッコウ)、竜眼肉(リュウガンニク)
の組み合わせで、ある体質の人の、寝汗、微熱がある場合の神経症やうつによる不眠や不安、貧血などに用いたりします。
加味温胆湯
半夏(ハンゲ)、茯苓(ブクリョウ)、陳皮(チンピ)、竹筎(チクジョ)、生姜(ショウキョウ)、枳実(キジ)、甘草(カンゾウ)、遠志(オンジ)、玄参(ゲンジン)、人参(ニンジン)、地黄(ジオウ)、酸棗仁(サンソウニン)、大棗(タイソウ)、黄連(オウレン)
の組み合わせで、ある体質の人の、神経症、不眠症に用いたりします。
人参養栄湯
人参(ニンジン)、当帰(トウキ)、芍薬(シャクヤク)、地黄(ジオウ)、白朮(ビャクジュツ)、茯苓(ブクリョウ)、桂皮(ケイヒ)、黄耆(オウギ)、 陳皮(チンピ)、遠志(オンジ)五味子(ゴミシ)、甘草(カンゾウ)
の組み合わせで、ある体質の人の、咳などの呼吸器症状がある人の体力低下、寝汗、手足の冷え、貧血などに用いたりします。
まとめ
物忘れの治療はそんなに簡単にはいかないと思います。ただ、40代以降の人の不安に応える形で、OTC薬として出された”遠志の恵み”は物忘れの改善を予防として取り組む1つの提案になるでしょう。
実際の効き目には未知数な部分もあります、選択肢の1つとして考えられるのが良いと思います。