生活習慣病の糖尿病の治療において処方されることのあるベイスン。
経口血糖降下薬としてはα-グルコシダーゼ阻害薬のものになります。
α-グルコシダーゼ阻害薬の中では2つ目に発売されたお薬で調剤薬局で調剤されることがある方です。
糖尿病用剤ベイスンとは 薬としての効果と副作用について紹介します。
Contents
糖尿病用剤ベイスンとは
日本では1994年9月より販売されている、α-グルコシダーゼに働きかけ単糖の生成を阻害することで小腸での吸収を抑制し血液中の糖分「血糖」を下げることに使われる薬の1つである「ベイスン」。
ジェネリック医薬品は発売されていますから、薬の負担を減らそうとジェネリック医薬品の選択ができます。
たくさん使われているので、後発品がそこそこあります。
ベイスンの成分名はボグリボースである。
でんぷんなどは加水分解で二糖類を経て単糖類にまで分解されます。
単糖類になれば小腸から吸収されて血糖の上昇をもたらします。
その二糖類の加水分解に作用するのがα-グルコシダーゼという酵素になります。
なので、その酵素を阻害すれば、糖分の消化・吸収が遅れて、インスリンの分泌のタイミングに合っていない食後の過血糖が改善されることになります。
ベイスンはα-グルコシダーゼという酵素を阻害することにより、食後の過血糖を改善することになります。
したがって、ベイスンは空腹時血糖がさほど高くなく、食後に高血糖になる軽症2型糖尿病には単独使用されます。
またSU剤などやインリン治療患者でも食後高血糖が著しい場合にはベイスンの併用も考慮されることがあります。
禁忌、
重症ケトーシス、糖尿病性昏睡または前昏睡の患者(インスリンの適用である)
重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者(インスリンの適応である)
本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
用法用量
1)糖尿病の食後過血糖の改善(ただし、食事療法・運動療法を行っている患者で十分な効果が得られない場合、または食事療法・運動療法に加えて経口血糖降下剤若しくはインスリン製剤を使用している患者で十分な効果が得られない場合に限る)
ボグリボースとして、通常成人では1回0.2mgを1日3回毎食食直前に経口投与する。なお、効果が不十分な場合には、1回量を0.3mgへ増量もできます。
2)耐糖能異常における2型糖尿病の発症抑制(OD錠0.2mgのみ)(ただし、食事療法・運動療法を行っている患者で十分な効果が得られない場合に限る)
ボグリボースとして、通常成人では1回0.2mgを1日3回毎食食直前に経口投与する。
(この場合の適用は、耐糖能異常と判断され、糖尿病発症抑制の基本である食事療法・運動療法を3~6ヶ月間行っても改善されず、かつ高血圧症、脂質異常症、肥満、2親等以内の糖尿病家族歴のいずれかを有する場合に限定すること)
食直前に服用を忘れても、食事開始15分後くらいまでなら効果に影響なく服用できると言われています。
剤型
錠剤
ベイスン錠0.2mg 35.00円/1錠
ベイスン錠0.3mg 47.10円/1錠
ベイスンOD錠0.2mg 35.00円/1錠(2004年7月より)
ベイスンOD錠0.3mg 47.10円/1錠(2004年7月より)
(それぞれの容量の口腔内崩壊錠(OD錠)が発売されています)
1)糖尿病の食後過血糖の改善の場合
糖尿病であることが確立した患者に対してのみ適用を考えること(他の疾患でないことを確認する)
治療に際しては糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法などを検討し、薬剤の使用が妥当である場合(食後血糖2時間値が200mg/dL以上を示す場合)のみに使用します。
低血糖を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与する時は注意すること
食事療法・運動療法に加えて経口血糖降下薬またはインスリン製剤を使用している患者では、投与の際の空腹時血糖値は140mg/dL以上を目安とする。
常に投与の継続性の可否、投与量、薬剤の選択に注意すること
2)耐糖能異常における2型糖尿病の発症抑制(OD錠0.2mgのみ)の場合
糖尿病であることが確立した患者に対してのみ適用を考えること(他の疾患でないことを確認する)
治療に際しては糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法などを検討し、薬剤の使用が妥当である場合に使用します。
低血糖を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与する時は注意すること
常に投与の継続性の可否、投与量、薬剤の選択に注意すること
他の糖尿病用剤との併用に際しては、低血糖があらわれることがあるので、用量調節などに注意する。
患者に対しては、低血糖症状およびその対処法について充分な説明を行うこと。
慎重投与
他の糖尿病治療薬を投与されている患者(低血糖症状があらわれることがある)
開腹手術の既往または腸閉塞の既往のある患者(腸内ガスなどの増加により、腸閉塞があらわれることがある)
消化・吸収障害を伴った慢性腸障害の患者(症状が悪化するおそれがある)
重篤な肝機能障害のある患者
重篤な腎機能障害のある患者
ロエムヘルド症候群、重度のヘルニア、大腸の狭窄・潰瘍などのある患者(症状が悪化する可能性がある)
血糖降下作用を増強する薬剤などと併用する場合は血糖降下作用の増強による低血糖症状に注意すること
低血糖症状(脱力感、高度の空腹感、発汗、動悸、振戦、頭痛、知覚異常、不安、興奮、神経過敏、集中力低下、精神障害、意識障害、痙攣など)
対象薬剤
SU剤(グリベンクラミド、グリクラジドなど)、スルホンアミド系薬剤(グリブゾール)、インスリン製剤、ビグアナイド製剤(メトホルミン塩酸塩など)、インスリン抵抗性改善薬(ビオグリタゾン、トログリタゾンなど)、β-遮断剤(プロプラノロール塩酸塩、アテノロール、ピンドロールなど)、MAO阻害剤、サリチル酸製剤(アスピリン、アスピリン・ダイアルミネート、など)など
血糖降下作用を減弱する薬剤と併用する場合は血糖降下作用を減弱による高血糖症状に注意すること
高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭など)
対象薬剤
アドレナリン、副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモン、卵胞ホルモン、利尿剤(チアジド系、クロルタリドン、フロセミドなど)、ピラジナミド、イソニアジド、リファンピシン、ニコチン酸、フェノチアジン系薬剤、フェニトイン、ブセレリン酢酸塩
高齢者など生理機能の低下が懸念される患者に対しては低用量から開始し、慎重に投与すること。
妊婦または妊娠している可能性のある婦人には治療の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(安全性は確立されていない)
授乳中の婦人には投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合は、授乳を避けさせること。
小児に対する安全性は確立されていない。(使用経験はない)
薬としての効果
ベイスンはインスリンを介する直接的な血糖降下作用はありません。
二糖類などの単糖への分解を阻害することで小腸での吸収を抑制することで食後の過血糖を改善します。
ベイスンは空腹時血糖がさほど高くなく、食後に高血糖になる軽症2型糖尿病には単独使用されたり、SU剤などやインスリンによる治療患者でも食後高血糖が著しい場合にはベイスンの併用も考慮されることがあります。
ベイスンはグルコバイと違いα-アミラーゼ阻害作用はありません。
そのため放屁などの副作用はグルコバイよりも少ない傾向にあります。
副作用について
主な副作用としては、効能1)の場合、下痢(4.0%)、放屁増加(4.0%)、腹部膨満(3.5%)、効能2)の場合、鼓腸(17.4%)、腹部膨満(13.1%)、下痢(12.0%)などである。(承認時)
その他では、腹痛、腹鳴、便秘、胸やけ、口渇、嘔吐、食欲不振、食欲亢進、軟便、貧血、しびれ、顔面等の浮腫、眼のかすみ、ほてり、倦怠感、脱力感、高カリウム血症、血清アミラーゼ上昇、HDLコレステロール低下、発汗、脱毛、めまい、GPT上昇、GOT上昇、Al-p上昇、LDH上昇、γ-GTP上昇、などである。
重大な副作用は、
低血糖
腸閉塞(0.1%未満)
劇症肝炎、重篤な肝機能障害、黄疸(0.1%未満)
重篤な肝硬変例での意識障害を伴う高アンモニア血症
まとめ
生活習慣病である糖尿病の治療で、α-グルコシダーゼに働きかけ単糖の吸収を阻害することで小腸での吸収を抑制し血液中の糖分「血糖」を下げることに使われる薬の1つである「ベイスン」。
ベイスンOD錠0.2mgに限っては耐糖能異常における2型糖尿病の発症抑制としても処方されることがあります。
α-グルコシダーゼ阻害薬の中では2つ目に発売されたお薬で調剤薬局で調剤されることがある方です。
ベイスンはインスリンを介する直接的な血糖降下作用はありません。
炭水化物の単糖への分解を阻害することで小腸での吸収を抑制することで食後の過血糖を改善します。
ベイスンは空腹時血糖がさほど高くなく、食後に高血糖になる軽症2型糖尿病には単独使用されたり、SU剤などやインスリンによる治療患者でも食後高血糖が著しい場合にはベイスンの併用も考慮されることがあります。
主な副作用としては、効能1)の場合、下痢(4.0%)、放屁増加(4.0%)、腹部膨満(3.5%)、効能2)の場合、鼓腸(17.4%)、腹部膨満(13.1%)、下痢(12.0%)などがあります。
他の糖尿病治療薬などと併用している時は低血糖にも注意が必要になります。
低血糖の場合はぶどう糖を服用するようにしましょう。
そのほかの副作用は少ないですが肝機能障害を起こすことがまれにあります。