爪に痛みをともなったりして歩くのが億劫になったりする爪白癬。
爪白癬は日本人の10人に1人、約1100万人が罹患しているとされています。
爪の中に感染する爪白癬は、非常に治りにくいとされていて、新しい効き目のある薬が待ち望まれていました。
新規爪白癬経口薬ネイリンとは 新薬としての効果と副作用について紹介します。
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爪白癬経口薬ネイリンとは
佐藤製薬が2018年1月19日に医薬品製造販売承認を取得した、新規のトリアゾール系抗真菌剤で経口抗真菌剤「ネイリンカプセル100mg」。
爪白癬を効能効果とする経口薬としては約20年ぶりの新薬となり、エーザイ製薬とともに情報提供活動を展開することになる。
発売したてほやほやの新薬のためジェネリック医薬品の発売は当分ないお薬ですから、薬の負担を減らそうとしてジェネリック医薬品の選択はできません。
この薬の発売日は2018年7月27日になります。
ネイリンの成分名はホスラブコナゾール L-リシンエタノール付加物である。
長ったらしい成分名は、もともとのラブコナゾールという薬効成分をプロドラック化したもので、水溶性及び生物学的利用率を高めたものになっています。
より効き目をもたせるために吸収されやすい形に変えたということです、なので経口投与後速やかに吸収され、ラブコナゾールに変化し効き目をもたらします。
爪白癬は病状が進行すると、爪が膨らんで厚くなって、痛みをともなったり歩行がしずらくなったりなどして生活のQOLを低下させることになります。
もし、治療をせずにそのまま放置すれば足白癬の再発や身近な人に感染させることの可能性がある疾患です。
爪白癬に適応するものとしては、経口剤及び外用液剤が臨床応用されています。
治療薬選択の幅を広げ、爪白癬の治療ゴールである完全治療を達成すべく、より治療効果の高く、安全で、利便性を兼ね備えた新規抗真菌薬が長年望まれてきた背景がある。
そんな中で、今回の新規発売になりました、爪白癬の治療に期待がもたれています。
爪白癬患者を対象とした国内第Ⅲ臨床試験において、投与開始48週後における完全治癒率は59.4%、著効率、有効率はそれぞれ83.1%、及び94.4%となった。
これからの治療がどうなるのか見守りましょう。
禁忌
本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
妊婦または妊娠している可能性のある患者(動物実験で有害な事象が認められている、本剤投与中及び投与終了後3ヶ月間は妊娠しないようにする)
用法用量
爪白癬(適応菌種:皮膚糸状菌(トリコフィトン属))
ラブコナゾールとして、通常成人では1日1回1カプセル(ラブコナゾールとして100mg)を12週間経口投与する。
剤型
カプセル剤
ネイリンカプセル100mg 804.60円/1カプセル(2018年7月において薬価収載)
直接検鏡または培養等に基づき爪白癬であると確定診断された患者に使用すること。
投与開始後は、爪の伸長期間を考慮して経過観察を行うこと。(12週間投与の根拠となっています)
なお、本剤は、新しい爪がのびてこない限り一旦変色した爪をきれいにするものではない。
治療中は、必要に応じて、やすりや爪切りなどで罹患爪の手入れを行うこと。
本剤は吸湿性があるので、服用直前にPTPシートから取り出すこと。
慎重投与
肝障害を有する患者(臨床試験において肝機能検査値異常が認められているので)
シンバスタチン(リポバス)、ミダゾラム(ドルミカム)との併用でこれらの薬剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。
ワルファリン(ワーファリン)との併用では、ミコナゾールとワルファリンによる重篤な出血症例の副作用報告があることから、ミコナゾールと同じアゾール系抗真菌剤である本剤においても注意が必要とした。
授乳中の婦人は、本剤投与中は授乳を避けること。(動物実験で乳汁排泄が報告されている)
低出生体重児、新生児、乳児、幼児または小児に対する安全性は確立していない。(使用経験はない)
新薬としての効果
本剤は、ラブコナゾールのプロドラッグであり、投与すると速やかにラブコナゾールに代謝される。
ラブコナゾールは、真菌細胞の膜成分であるエルゴステロール生合成を阻害することにより抗真菌作用を示します。
薬効を裏付ける試験によるデータでは、イトラコナゾール(イトリゾール)、テルビナフィン(ラミシール)よりも少し抗菌力が劣ることが示された。
水溶性で速やかに吸収されるので治療効果も早く出ることが期待でき、服用のしやすさによりコンプライアンスも上々です。
薬剤の爪への移行性などが影響するので、実際の臨床では爪白癬に対しどのような評判をもたらすか未知数と思えます。
爪白癬の選択肢が一つ増えたということですね。
副作用について
主な副作用としては、γ-GTP増加(15.8%)、GPT増加(8.9%)、GOT増加(7.9%)、腹部不快感(4.0%)、血中Al-P増加(2.0%)などである。
その他では、便秘、口角口唇炎、消化不良、上腹部痛、白血球数減少、白血球数増加、赤血球数減少、ヘモグロビン減少、血中クレアチニン増加、膀胱炎、高尿酸血症、円形脱毛症、皮脂欠乏性湿疹、などがあります。
重大な副作用
肝機能障害
まとめ
難治性の爪白癬、今回の発売により、治療の選択肢が1つ増えたことで医療のニーズが満たされることになるよう願います。
他の薬剤との飲み合わせも、類似薬に比べ、それほど気にする薬剤が多くないので投与しやすいです。
とりたてて、抜群に効果があるというわけでもないのですが、飲みやすさと吸収されやすさが期待したいところです。
主な副作用としては、γ-GTP増加(15.8%)、GPT増加(8.9%)、GOT増加(7.9%)、腹部不快感(4.0%)、血中Al-P増加(2.0%)などで、
ほとんどないですが、重大な副作用としては肝機能障害に注意しておきましょう。
内服薬で副作用の少ない薬剤なので、どれぐらい治療に効果がもたらされるかを期待したいところです。
これからの使用によりいろんなことが明らかになっていくと思います。冷静に見守っていくようにしたいですね。