今年行われた箱根駅伝の参加チームの1つ創価大の選手が抱えていた疾患で有名になった「網膜色素変性症」。
切磋琢磨して実力をつけた1人が区間新記録を打ち立てる快挙に同じ境遇の人を勇気づける走りをもたらした。
網膜色素変性症とは 症状と検査や治療について解説します。
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網膜色素変性症とは
網膜色素変性症とは成人中途失明の3大原因の一つで数千人に一人の頻度で起こります。
日本では約5万人の患者がいると言われている。
日本の盲学校に通う生徒の中で2番目に多くもっている疾患とされている。
遺伝的な原因でもたらされるとされる疾患ですが、明らかでない場合も同じくらいあります。
遺伝的に明らかな場合は、常染色体優性遺伝(約35%)、常染色体劣性遺伝(約50%)、X連鎖性劣勢遺伝(約10%)の3つのタイプに分かれます。
X連鎖性劣勢遺伝の場合は、男性にあらわれる場合が多く。
いとこ同士などの近親間での結婚では、その子どもが発病する確率が高くなります。
網膜は光りの信号を受けて神経を介して脳へその信号を伝達し物を認識することになります。
網膜には杆体細胞と錐体細胞という2つの視細胞があります。
杆体細胞は眼底の中心以外の全体に広がっていて暗いところでのものの見え方を担っています。
錐体細胞は中心あたりにある黄班部に高密度にあり明るいところで細かいものを見分けたり、色を識別するなどの視力を担っています。
網膜色素変性症は、まず杆体細胞が障害し、次に錐体細胞が障害されることが多いです。
なので、暗闇で見えにくくなったり、視野が狭まったりしてから後に、視力が落ちる傾向にあります。
1996年に厚生労働省から難病指定を受けて、障害の程度で各種公的サービスが利用できるようになりました。
患者さんの自立した生活を多方面からバックアップする体制も年々整備されていくでしょう。
また、特定疾患治療研究対象疾患ですから、医療費自己負担額の給付制度があります。
給付の認定などは最寄りの保健所にて確認することができます。
患者さん同士の情報交換や医師との交流、治療方法の研究を支援する全国組織として、日本網膜色素変性症協会(JRPS)というものがあります。
協会は国際的な組織(Retina International)の日本支部として活動し、会報やテキストの発行、医療相談、講演会の開催などに取り組んでいます。
<日本網膜変性症協会>
〒140-0013 東京都品川区南大井2-7-9 アミューズKビル4階 一般社団法人 日本網膜色素変性症協会(JRPS)
TEL 03-5753-5156 FAX 03-5753-5176
ホームページ:日本網膜色素変性症協会
E-mal:info@jrps.org
症状について
視細胞の障害に伴う症状を発症してゆきます。
たいていは、まず暗いところで見えにくくなる(夜盲)症状になります。
ですが、明るい生活環境によってはそのことに気が付かないこともあります。
次に視野が狭くなる(視野狭窄)症状がでるのですが、一部、視野狭窄症状が先に出る場合もあります。
そうこうしているうちに視力が低下したり、色覚異常になったりすることになります。まぶしく感じることもあります。
原則的に進行性の疾患で、症状の進行の早さや組み合わせや順番には個人差がみられます。
発症年齢はさまざまで幼少期に発症するような重症例では30~40代のうちに光を失う(失明)こともありますが、
軽症例では80歳になっても良好な視力を保持していることもあります。
20~40代で発症する場合が最も多いとされています。
検査について
診断に使われる検査としては、
視力検査・・・眼科で通常行われるもので、視力を調べる。(進行のレベルを判断する検査)
眼底検査・・・眼底の色素(黒色)沈着や網膜動脈狭小や視神経萎縮などを観察する。(進行のレベルを判断する検査)
暗順応検査・・・夜盲の程度を調べる。(進行のレベルを判断する検査)
網膜電図・・・網膜が光を受けたときに発する電位を調べる。(確定には必須の検査で障害の程度を調べる)
視野検査・・・視野狭窄の程度を調べる。(進行のレベルを判断する検査)
OCT検査・・・近年普及してきた患者負担が少ない検査で、眼底の断面像を詳しく調べ、視力に重要な黄班の変化をみるのに適しています。
治療について
現時点では確立された確実な治療法はありません。
強い光を避けるために、明るいところから暗いところに入った時に対応したり、物のコントラストをより鮮明にしたり、まぶしさを軽減するための眼鏡を着用する。
暗順応改善薬(アダプチノール)、ビタミンA、網膜循環改善薬などで様子をみる。(一時的に改善することがある)
などの対症療法的な治療が行われています。
最前線の治療としては、網膜の移植・再生、サイトカインによる治療の研究、人工網膜の開発、遺伝子治療の試みなどがすすめられています。
10年くらいするとなんらかの道筋が見えているのではないかと思われます。
iPS細胞での治療についても今後段階的に研究がすすめられていくことになります。
併発しやすい白内障・緑内障などは手術や点眼薬などでの治療で改善されることがあります。