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脂質異常症

高コレステロール血症治療薬プラルエント皮下注 使用上の注意と副作用について

投稿日:2017年11月11日 更新日:

 

 

生活習慣病の1つに高コレステロール血症があります。

 

よく話題にのぼる疾患のため、コレステロールは悪い物質のように思われがちですが、

 

実はコレステロールは体にとってなくてはならないものなのです。

 

コレステロールはステロイドホルモンや胆汁酸、そして細胞膜の原料となります。

 

その高コレステロール血症の治療薬で注射剤が2016年に発売されています。

 

高コレステロール血症治療薬プラルエント皮下注 使用上の注意と副作用について解説します。

 

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Contents

高コレステロール血症治療薬プラルエント皮下注

 

調剤薬局で服薬指導などをしていると、患者さんから、「野菜をよく食べているんだけど、コレステロール値が下がらないんです」ということを相談されることがあります。

 

ある一定の年齢になると、このような悩み事を持つようになるみたいです。

 

食事だけでは十分な改善ができないのでしょう。

 

昔、ある勉強熱心な医師が、高コレステロール血症の改善には、スタチンなどの薬を用いてスパッと下げるしか方法はないとおっしゃっていました。

 

最近ではそのスタチンでも十分な効果が得られないこともあるようで、そんな場合の対策が求められていました。

 

プラルエント皮下注はその要望に応える注射剤で、スタチンによる脂質低下療法で十分な効果が得られない時に追加投与することで有意にLDLコレステロールが低下し、かつ長期にわたり効果が持続することが認められている。

 

2016年9月から販売されているプラルエント皮下注は成分名をアリロクマブといいます。

 

2016年4月より販売されているレパーサ皮下注に次ぐ、LDL受容体分解促進タンパク質であるPCSK9を標的にするPCSK9阻害薬という新しい作用機序をもつ薬剤である。

 

本剤はヒト型モノクローナル抗体製剤で、PCSK9とLDL受容体の結合を、間に割って入ることで阻害し、LDL受容体が分解されることを抑制します。

ひいてはLDL受容体の存在を増やすことで肝臓内にLDLコレステロールを回収する作用を高め、血中のLDLコレステロール値を下げることになります。

 

 

 

用法用量

家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症

通常、成人にはアリロクマブとして75mgを2週に1回皮下投与する。効果不十分の場合には1回150mgに増量できる。

 

プラルエント皮下注75mgペン(またはシリンジ)、とプラルエント皮下注150mgペン(またはシリンジ)の製品があります。

LDLコレステロールをかなり下げる効果があるプラルエント皮下注ですが、レパーサ皮下注と同じで薬価が極めて高く、月あたりに数万円かかります。(3割負担で1~2万円)

それぞれの薬価は、75mg:22948円、150mg:44481円

(用法を限定すればレパーサ皮下注とプラルエント皮下注の1日薬価は同じになります。)

 

プラルエント皮下注はレパーサ皮下注と違い家族性高コレステロール血症のタイプのホモ接合体に対する有効性及び安全性は確立していない。

治療にあたっては、適否を慎重に判断し、本剤に対する反応が認められない場合には投与を中止すること。

 

家族性高コレステロール血症は遺伝子の突然変異で生じる遺伝性疾患であり、低年齢からLDLコレステロールが高くなることがわかっています。

そのタイプはホモ接合体とヘテロ接合体の2つに分かれていて、ホモ接合体はコレステロール調節遺伝子が両方とも変異しているもの、ヘテロ接合体はコレステロール調節遺伝子が片方だけ変異しているものである。

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ホモタイプの発生頻度よりもヘテロタイプの発生頻度が多く、日本では約500人に1人がヘテロ接合体を発症している。

 

ホモタイプの頻度が少ないのでデーターをとらなかったのかもしれないですね。

 

使用上の注意について

 

アリロクマブの使用上の注意としては、

 

1)本剤の成分に対する重いアレルギーの既往歴がある場合は使用してはいけない。

 

2)スタチン系の高コレステロール剤(HMG-CoA還元酵素阻害剤)と併用すること。(日本人での本剤単独使用での安全性及び有効性は確率していない)

 

3)重度の肝機能障害患者には慎重に投与すること。(使用経験がない)

 

4)本剤投与の前に、高コレステロール血症治療の基本である食事療法や運動療法、禁煙、他のリスクファクター(糖尿病、高血圧等)の軽減等も十分考慮すること。

 

5)使用にあたり、血中脂質値を定期的に検査し、本剤の効果を確認し十分でない場合には使用を中止すること。

 

6)併用するスタチン剤及び他の脂質異常症治療薬の禁忌、慎重投与、重要な基本的注意、重大な副作用の内容を必ず確認すること。

 

7)自己投与にはプラルエント皮下注の専用ペンを用いること。

 

8)自己投与の実施にあたり、医師がその妥当性を慎重に検討した上で、患者の自己投与に向けての教育訓練を実施し、患者自身が確実に投与ができることを確認した上で、医師の管理指導の下で実施すること。

 

9)自己投与の実施後、本剤による副作用が疑われる場合や自己投与の継続が困難な場合には、速やかに医療施設に連絡するよう指導し、直ちに自己投与を中止させるなど適切な処置を行うこと。

 

10)本剤は1回使用の製剤である。使用後、再使用しないように患者に注意し、安全な廃棄方法の指導を徹底すること。

 

11)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人及び授乳婦には投与しないこと(併用薬の胎児への影響を考慮する)

 

12)低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確率されていない。

 

13)高齢者には慎重に投与すること。

 

14)皮下にのみ投与すること。

 

15)投与前30分程度、遮光した状態で室温に戻してから投与すること。

 

16)注射剤を激しく振とうしないこと。

 

17)注射剤の内容物を目視により、変色、にごり、浮遊物がないことを確認したうえで使用すること。

 

18)注射部位は、上腕部、腹部又は大腿部とし、同一部位への反復投与は行わないこと。皮膚が敏感なところ、挫傷、発赤又は硬結している部位への注射は避けること。

 

19)LDLアフェレーシス(血液浄化法の1つ、血漿交換、二重濾過法など)と併用する場合には、アフェレーシス施工後に本剤を投与すること。

 

副作用とは

 

主な副作用(承認時)

注射部位反応(紅斑、発赤、腫脹、疼痛、圧痛、そう痒など)(11.4%)

 

その他副作用

糖尿病(1%以上)、胃腸炎、胃炎、過敏腸症候群、うっ血性心筋症、肝機能異常、前立腺炎、胸部不快感、末梢性浮腫、CK上昇など

 

副作用はほぼ注射したことで起こる反応ですね。

 

まとめ

 

スタチン系の高コレステロール血症治療薬が無効時に、追加投与されるプラルエント皮下注はLDLコレステロールと強力に下げるようです。

 

プラルエント皮下注はレパーサ皮下注と違い家族性高コレステロール血症のタイプのホモ接合体に対する有効性及び安全性は確立していないことを理解しておきましょう。

 

使用上の注意をよく確認しちゃんと使うようにしたいですね。

 

参考記事⇒高コレステロール血症治療薬レパーサ皮下注 使用上の注意と副作用について

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