あの痛みを伴う帯状疱疹にかかるのは免疫力が弱っている人になります。
帯状疱疹が進行すると神経障害性の疼痛が出てくるようになります。
そんなときには普通の痛み止めでは効かなくなってきますから、
それ用の痛み止めを選択しなければなりません。
帯状疱疹の痛みに使うサインバルタとは 薬としての効果と副作用について紹介します。
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帯状疱疹の痛みに使うサインバルタとは
日本では2010年4月に発売されている、帯状疱疹により引き起こされる末梢性の神経障害性の疼痛の第二選択薬の1つである「サインバルタ」。
ジェネリック医薬品は発売されていないので、薬剤費は安くなりません。
サインバルタの成分名はデュロキセチンである。
帯状疱疹はヘルペスウイルスの1種、水痘・帯状疱疹ウイルスによって起こります。
水痘・帯状疱疹ウイルスに初めて感染すると、水ぼうそうとして発症します。
治療により水ぼうそうが治ったあと、水痘・帯状疱疹ウイルスは体内の神経節に潜んでいます(潜伏感染)。
その後、加齢やストレス、過労などが引き金となってウイルスに対する免疫力が低下すると、かくれていたウイルスが再び活動をはじめ、神経を伝わって皮膚までやってきて、帯状疱疹として発症することになります。
帯状疱疹を発症して、最初の頃はピリピリ、チクチクした痛みが感じられるようになります。
そしてその痛みの程度が日増しに強くなっていきます。
これはウイルスが神経細胞を痛めつけながら移動するためで、その障害の程度でいろんな痛みを感じるようになっていきます。
帯状疱疹が進行すると神経障害性の痛みが大半を占めるようになります。
痛みを抑える神経「下行性疼痛抑制神経」にはノルアドレナリン作動性神経とセロトニン作動性神経の2つの系統があります。
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)であるサインバルタはこの2つの神経機能を高めることで一次求心性神経から二次求心性神経への痛みのバトンタッチを抑制して鎮痛作用を示します。
サインバルタは三環系抗うつ薬よりも新しいお薬で、使用の歴史が浅く、高価であるデメリットもありますが、副作用の面では抗コリン作用やキニジン作用がなく扱いやすいお薬です。
なお、サインバルタは1日1回服用すれば、効果が1日中持続するお薬です。
禁忌
1)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2)モノアミン酸化酵素阻害剤(エフピー(セレギリン))を投与中あるいは投与中止後2週間以内の患者
3)高度の肝障害のある患者
4)高度の腎障害のある患者
5)コントロール不良の閉塞隅角緑内障の患者
用法用量
末梢神経障害性疼痛(帯状疱疹後神経痛など)には適応がないので正式な情報はありません、医師が補助薬として使うことがあるようです。
なので用法用量は定められていないのですが、慢性腰痛症の用法用量より推測すると以下のようだと思われます。
通常、成人には1日1回朝食後、デュロキセチンとして20mgを初期用量とし、その後、1週間以上の間隔を空けて1日用量として20mgずつ増量する。最高用量は1日60mgを超えないこと。
帯状疱疹後神経痛に対して投与する場合には、自殺念慮、自殺企図、敵意、攻撃性などの精神症状の発言リスクを考慮し、本剤の投与の適否を慎重に判断すること。
連用中における投与量の急激な減量ないし投与の中止により、てんかん発作の憎悪などがあらわれることがあるので、投与を中止する場合には、最低1週間をかけて徐々に減量するなど慎重に行うこと。
本剤を投与中の患者には自動車の運転など、危険を伴う機械の操作には従事させないよう注意すること。
剤型は
カプセル剤
サインバルタカプセル20mg 173.5円/1カプセル
サインバルタカプセル30mg 235.3円/1カプセル
慎重投与
前立腺肥大など排尿困難のある患者(症状が悪化するおそれがある)
高血圧または心疾患のある患者(心拍数、血圧上昇、高血圧クリーゼがあらわれることがある)
緑内障または眼内圧亢進のある患者(症状が悪化するおそれがある)
軽度から中等度の肝障害のある患者(肝障害が悪化することがある)
過度のアルコール摂取者(肝障害が悪化するおそれがある)
軽度から中等度の腎障害のある患者(副作用が発現しやすくなる)
自殺念慮または自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者(自殺念慮、自殺企図があらわれることがある)
躁鬱病患者(躁転、自殺企図があらわれることがある)
脳の器質障害または総合失調症の素因のある患者(精神症状を憎悪させることがある)
衝動性が高い依存障害を有する患者(精神症状を憎悪させることがある)
てんかんなどのけいれん性疾患またはこれらの既往歴のある患者(けいれんを起こすことがある)
出血性疾患の既往歴または出血性素因のある患者(出血傾向が増強することがある)
オーラップ(ピモジド)と併用するとQT延長、心室性不整脈などの心血管系副作用が発現することがある。
アルコールとの併用で中枢神経抑制作用を増強することがある。
チオペンタールなど(フェバルビルツール酸誘導体)、ワイパックス(ロラゼパム)などとの併用で相互に作用を増強することがある。
メチレンブルー(メチルチオニニウム塩化物水和物)との併用でセロトニン症候群があらわれるおそれがある。
フルボキサミンマレイン酸塩、シプロフロキサシン、エノキサシンとの併用でサインバルタの血中濃度が上昇することがある。
ニューレプチル(プロペリシアジン)・ピーゼットシー(ペルフェナジン)など(フェノチアジン系製剤)、トリプタノール(アミトリプチリン)・トフラニール(イミプラミン)など(三環系抗うつ剤)、プロノン(プロパフェノン塩酸塩)、タンボコール(フレカイニド酢酸塩)と併用するとこれらの薬剤の血中濃度が上昇することがある。
パキシル(パロキセチン)、キニジンと併用するとサインバルタの血中濃度が上昇することがある。
炭酸リチウム、SNRI及びSSRI、トラマール(トラマドール塩酸塩)、ザイボックス(リネゾリド)、セイヨウオトギリソウ含有食品などとの併用でセロトニン症候群があらわれるおそれがある。
カタプレス(クロニジン塩酸塩)などとの併用で降圧剤(カタプレスなど)の作用を減弱することがある。
アドレナリンやノルアドレナリンとの併用でアドレナリン作動薬の作用が増強されることがある。
ワーファリン(ワルファリンカリウム)との併用で抗凝血作用を増強するおそれがある。
ニューレプチル(プロペリシアジン)・ピーゼットシー(ペルフェナジン)など(フェノチアジン系製剤)、トリプタノール(アミトリプチリン)・トフラニール(イミプラミン)など(三環系抗うつ剤)、SNRI及びSSRI、アスピリンなどの非ステロイド系抗炎症剤、ワーファリン(ワルファリンカリウム)などとの併用で出血傾向が増強することがある。
高齢者では、低ナトリウム血症、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群の危険性が高くなることがある。また、めまいなどにより転倒することがあるので、少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。
(抗利尿ホルモン不適合分泌症候群とは低ナトリウム血症起こし食欲不振、悪心、嘔吐などから意識障害やけいれんなどの神経症状を発現しやすくなる病態である)
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ投与すること。
授乳中の婦人への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合には授乳を避けさせること。
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する有効性及び安全性は確立していない。(使用経験がない)
薬としての効果
サインバルタは帯状疱疹の独特の痛みである神経障害性疼痛に第二選択薬として出されることのあるお薬である。
末梢神経障害性疼痛(帯状疱疹後神経痛など)の適用は認められていませんが、下行性疼痛抑制神経への作用により神経障害性の疼痛に効果が期待できます。
(三環系抗うつ薬と同様にすぐに効き目があらわれないことを心しておく必要があります)
副作用について
主な副作用としては、傾眠、便秘、悪心、口渇、倦怠感、腹部不快感、食欲減退である。
その他では発疹、そう痒、じんましん、接触性皮膚炎、光線過敏症、血管浮腫、皮膚血管炎、頭痛、めまい、不眠、立ちくらみ、しびれ感、振戦、浮遊感、下痢、腹部痛、嘔吐、消化不良、胃炎、耳鳴、動悸、頻脈、血圧上昇、GOT上昇、GPT上昇、γ-GTP上昇、総ビリルビン上昇、Al-P上昇、LDH上昇、排尿困難、高血糖、TG上昇、総コレステロール上昇、尿中蛋白陽性、CK上昇、発汗、体重増加、体重減少などがあります。
重大な副作用では(痙攣と肝機能障害以外は滅多にないですが)
セロトニン症候群(自律神経、中枢神経、末梢神経に影響が出る)
悪性症候群(急激な体温上昇や意識障害など)
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(体内に水分がたまってしまう状態)
痙攣(0.1%未満)、幻覚
肝機能障害(0.1%未満)、肝炎、黄疸
ひどい皮膚症状
アナフィラキシー反応
高血圧クリーゼ
尿閉
まとめ
帯状疱疹の独特な痛みを改善する薬の補助として処方されることがあるサインバルタはまだ十分な治療データがないようです。
三環系抗うつ薬に比べ、副作用の面では抗コリン作用やキニジン作用がなく扱いやすいお薬です。
なお、サインバルタは1日1回服用すれば、効果が1日中持続するお薬です。
飲み合わせの悪い薬があるので、事前に服用していた薬について医師に伝えておくべきです。
サインバルタはジェネリック医薬品は発売されていないので、薬剤費は安くなりません。