高い薬で有名ながん治療薬「オプジーボ」それより高額になるのではと波紋を呼んでいる薬があります。
ノバルティスが発売予定の新しい遺伝子療法薬がその薬です。
オプジーボ(ニボルマブ)でも、日本では非常に取りざたされていて、11月1日に3回目の薬価引き下げをされたところ。
オブジーボより高い薬になるかノバルティスの遺伝子療法薬について考えたいと思います。
Contents
オブジーボとは
オプジーボ(ニボルマブ)とは小野薬品工業が開発したがん免疫薬で、夢の新楽と期待の大きかったものです。
最初の保険適用はメラノーマ(悪性黒色腫)という皮膚がんだけでしたが、次々と、
非小細胞肺がん(切除不能な進行・再発の)
腎細胞がん(根治切除不能または転移性の)
ホジキンリンパ腫(再発性または難治性の古典的な)
頭頸部がん(再発または遠隔転移を有する)
胃がん(がん化学療法後に憎悪した治療切除不能な進行・再発のもの)
悪性胸膜中皮腫(がん化学療法後に憎悪した切除不能な進行・再発のもの)
と適用を拡げていきました。
警告では
設備の整ったところで、専門的な知識のある医師のもとで適切に治療されること、
ちゃんと患者や家族に説明をし同意を得てからすること。
また、間質性肺疾患で死亡例が出たので、観察を十分にし適切な対応をすることと記されています。
禁忌は、
オプジーボの成分に対し過敏症の既往歴がある患者では投与しないことでした。
剤型
注射剤
オプジーボ点滴静注20mg 3万5766円/瓶
オプジーボ点滴静注100mg 17万3768円/瓶
オプジーボ点滴静注240mg 41万9068円/瓶(2018年11月28日発売)
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オブジーボの価格について
当初、2014年の9月に100mg10ml.1バイアルが72万9849円で薬価収載されました。
でも、それで治療すると、結果的に年間数千万円もかかるという超高額になるのです。
そして、当初はそんなに症例のないものへの適用のみだったのが、次々と症例の多い適用が追加されました。
当然、使用機会が増えるので2015年度は212億円だった売上高が2016年度には1039億円まで膨れ上がりました。
あわてて2017年2月には50%の薬価引き下げで36万4925円に、
2018年4月には通常の薬価改定で27万8029円まで23.8%下げ、
2018年11月1日には37.5%引き下げで17万3768円になりました。
そして、体重換算用量から固定用量(1回240mg)に変更されたこともあり、
(それに合せた製剤も発売されました(240mg製剤))
2018年11月1日に17万3768円に下げるまでは体重80kgの患者には1回あたりの薬剤料が67万508円だったのが、
41万9068円まで下がりました。
まあ、それでも高いなと思うのは私だけでしょうか?
薬品会社にしてみれば、それくらいのお金で治ればしめたもんでしょと言いたいところですけどね。
夢の新薬と期待された割には、それほど効果があると言えないようですので、治らなければ医療費の無駄遣いになります。
患者の立場からすると、少しでも可能性があったら使ってほしいと思うのが人情ですが。
医療費の高騰の問題からは悩むところです。
ノバルティスの遺伝子療法薬とは
ノバルティスファーマが11月1日付けで承認申請した遺伝子療法薬は脊髄性筋委縮症のものである。
脊髄性筋萎縮症(SMA)は常染色体劣性遺伝による遺伝子疾患で脊髄や脳幹の神経細胞の変性による筋委縮と進行性の筋力低下を症状とするものである。
世界的には発症率は出生10万人当たり8.5~10.3人で、乳児の死亡で最多の遺伝的病因の一つで、小児の筋力低下はほとんどがこのためと言われています。
日本でのデーターでは出生10万人当たり1~2人の割合とされています。
親にしてみれば、のどから手が出る薬とはいえ、400万ドルはちと法外なと思ってしまいます。
オプジーボがイギリスやアメリカの薬価に合わせていった経緯から考えると、それは承服しかねると言いたいところですが。
ノバルティスも商売なので、87億ドルで買収したアベックス社の創製した薬で買収費用を早くチャラにしたいのはよくわかります。
でも、人の足元を見て商売するのはどうかと言いたい。
子どもを助けたい親の気持ちを人質にして高額を要求しないでほしいですね。
アベックス社側の計算では500万ドルでも費用対効果に優れるとして要るらしいですけど。
今後の論争と薬価がどこに落ち着くか見ものですね。
まとめ
オプジーボであれだけ騒いだ日本がノバルティス社の夢の遺伝子療法薬の薬価に対しどう結論づけるか見ものです。
少子化のなかでの10万人に1~2人なら高額でもやむなしとなるかもしれませんが、健康保険料の高騰はいただけない庶民としては、オプジーボ程度におさまってほしいと思いますね。
参考記事⇒オプジーボの使用上の注意改訂、重大な副作用の追記についての考察