インフルエンザの治療薬は、飲み薬はタミフル、吸入するお薬はリレンザやイナビル、注射薬はラピアクタというふうに、投与方法でラインナップがそろっています。
最初に発売されたタミフルでは「異常行動」という副作用が取りざたされて、10歳以上の患者に対しては原則として使用を差し控えるということになっています。
ラピアクタでは「異常行動」という副作用がみられたとの報告はないように思いますが、どうなのでしょうか。
ラピアクタの副作用とはどんなものがあって、それぞれの頻度はどれくらいなのかと注意点について紹介します。
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ラピアクタの副作用とは
ラピアクタの添付文書(くすりの説明書)には警告と題してこんな文言が初めに書かれています。
1.本剤の使用にあたっては、本剤の実用性を慎重に検討すること。
2.本剤の予防投与における有効性及び安全性は確立していない。
リレンザやイナビルと違って予防にはこの薬を使わないでワクチンを打ってくれとは書いてないですね。
ワクチンのことを書かなくなりました。
たぶん医療機関でする注射剤なので、予防的な使用をしないだろうとの配慮ですか。
今注目されている「異常行動」ですが、具体的には飛び降りなどの他にどんなものがあるのかを以下に示します。
1.人を正しく認識できない。(身内を知らない人と言う)
2.食べ物とそうでないものの見分けができない。(手にかみつくなど)
3.幻覚、幻視を訴える。(動物が見えたり、アニメのキャラクターが見えたりする)
4.ろれつが回らない(意味不明の言葉を発したり、うなる)
5.感情の変化が激しい。(急に怒りだしたり、泣き出したり、怖がったりする)
6.急に走りだしたり、物を破壊しだす。
この異常行動の原因に関しては、
(1)ノイラミニダーゼ阻害薬自身の作用
(2)それぞれの薬物に含まれている添加物が原因
(3)インフルエンザウイルスが引き起こす症状が原因
のどれかだと思われていますが、今のところはっきりとした結論は出ていません。
(情報では解熱鎮痛薬でも起きているらしいです。)
この異常行動は、タミフルでもリレンザでもイナビルでもほぼ同じ頻度で起きていることが厚生省の調査で判明しています。
ただ、飛び降りるという事件に発展したのがタミフルが多かっただけのことのようです。
リレンザでも少し起きてますね。
ラピアクタでは私はあったとは聞いていないです。一部の情報では少ないがあったとかいわれていますが、真相はわかりません。
ラピアクタは注射剤なので、タミフルよりも血中にダイレクトに入り込み、効き目も早く出たり、効果も出やすいように思える半面、副作用も起きやすいように思えますが、異常行動の副作用が出ていないのが不思議ですね。(他の副作用は多いほうかな?)
異常行動などの副作用がないのは、もしかしたら、
*薬として優れている。
*入院してベッドで治療するから副作用が起きにくいとかわかりにくいのか?
*リレンザ、イナビルのところでも書きましたが薬のせいではないので入院によって、治療の管理が行き届いているため起きないとか。
いろいろ考えられますが、真相はわかりません。
私は薬は基本的に飲まないし注射剤も投与してもらったことはそんなにないです。(旅行中に風邪をこじらせたときの点滴と、テニスエルボーになった時のステロイド剤くらいかな)あまり薬を使わないので使えば劇的に効きますね。
あんまりインフルエンザにかかったことはないと思うのですが、個人の数少ない経験では、寝込むことはあっても「異常行動」を経験したことがありません。(医者にかかっていないのでインフルエンザにかかっていたかどうかはわかりません、未成年のころはしなかったですが成年になって医療機関で働き出してからはワクチンは職業柄ほとんど毎年接種してました、というかさせられていました)
異常行動以外の他の副作用については、(添付文書より)
重大な副作用として
1.ショック、アナフィラキシー(呼吸困難、じんましん、血圧低下、顔面蒼白、冷や汗など)。
2.白血球減少、好中球減少。
3.肝機能障害、黄疸(GOT、GPT、γ-GTP、Al-pの激しい上昇等を伴う肝機能障害、黄疸)
4.急性腎不全
他の抗インフルエンザウイルス薬で以下の副作用が報告されているので注意すること。
1.肺炎
2.劇症肝炎
3.中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑などの皮膚障害
4.血小板減少
5.精神・神経症状(意識障害、異常行動、譫妄、幻覚、妄想、痙攣など)
6.出血性大腸炎
その他の副作用では
発疹、湿疹、じんましん、下痢、悪心、嘔吐、腹痛、食欲不振、腹部不快感、口内炎、GOT上昇、GPT上昇、LDH上昇、ビリルビン上昇、γ-GTP上昇、Al-p上昇、蛋白尿、尿中β2ミクログロブリン上昇、NAG上昇、BUN上昇、リンパ球増加、好酸球増加、血小板減少、めまい、不眠、血中ブドウ糖増加、尿中血陽性、CK上昇、尿糖、霧視、血管痛
などがあります。
補足説明:
中毒性表皮壊死融解症や皮膚粘膜眼症候群とは皮膚だけでなく眼、口唇、陰部などの粘膜に起きるやけどのような薬疹のひどいものを指します。
GPT、GOT、γ-GTP、LDH、ビリルビン、Al-pなどはともに肝機能が悪くなると上昇します。
NAG、蛋白尿、尿中β2ミクログロブリンは腎機能が悪くなると上昇します。
BUNは肝機能と腎機能の指標です。腎機能が悪くなると上昇し、肝機能が悪くなると下がります。
霧視は目がかすむことです。
それぞれの頻度はどれくらい
それぞれの副作用の頻度を示します。
「異常行動」
重度の異常行動の頻度では
2011/2012年シーズンのデーターではタミフル9件、イナビル9件、リレンザ7件が起きていますので、だいたいそれぞれの薬剤で0.01%ぐらいと推測されます。
軽度の異常行動(うわごとなど)の頻度では
15%くらいの頻度で起こるだろうとの報告があります。
ただ、ラピアクタの情報がないので、はっきりとはわかりませんね。
他の副作用では
<頻度不明のもの、それほど少ないともとれます>
「ショック、アナフィラキシー」
「肝機能障害」
「急性腎不全」
「血管痛」
<0.5%未満のもの>
「湿疹」「じんましん」
「食欲不振」「腹部不快感」「口内炎」
「Al-p上昇」
「血小板減少」
「めまい」「不眠」
「霧視」
<0.5~1%>
「発疹」
「腹痛」
「LDH上昇」「ビリルビン上昇」「γ-GTP上昇」
「BUN上昇」
「好酸球増加」
「尿中血陽性」「CK上昇」「尿糖」
<1%以上>
「下痢(6.3%)」「悪心」「嘔吐」「口内炎」
「GOT上昇」、「GPT上昇」
「蛋白尿」「尿中β2ミクログロブリン上昇」「NAG上昇」
「リンパ球増加」
「血中ブドウ糖増加」
*( %)は治験での頻度
注意点について
腎機能障害のある患者では、クレアチニンクリアランスの値をもとに調整して使うようにします。水分や塩化ナトリウムの過剰投与に注意する。小児等の腎機能障害者での使用経験はない。
心臓、循環器系機能障害のある患者では心臓に負担がかかる場合があるので注意する。
妊娠または妊娠している可能性がある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合に使用すること。
授乳婦に投与する場合には授乳をやめさせること。
低出生体重児、新生児については安全性は確率されていない。(使用経験がない)
本剤は点滴静注にのみ使用すること。
点滴静注では体重に見合った量を1日1回点滴静注するが、15分以上かけてすること。
まとめ
インフルエンザの薬の副作用なのかインフルエンザウイルスのなせるわざなのかははっきりしませんが、状況に応じて適切な対応が必要です。
ラピアクタの場合は入院して使用されることが想定できるため、医療機関にお任せですが。
タミフル・リレンザ・イナビル・ラピアクタともに2日間は「異常行動」に注意して見守ります。