生活習慣病の脂質異常症の治療において中心的な役割を担っているスタチン系の薬剤。
LDLコレステロールが高い場合にはまず処方されることになります。
なので調剤薬局ではこの種類の薬剤が良く調剤されています。
リピトールはスタチン系の中でも良く使われている方です。
脂質異常症治療薬リピトールとは、薬としての効果と副作用について紹介します。
Contents
高脂血症治療薬リピトールとは
日本では2000年5月より販売されている、LDLコレステロールを下げる強さが強い方(ストロングスタチン)の1つである「リピトール」。
もう、すでにジェネリック医薬品が発売されていて、薬の負担を減らそうとするなら選択が可能である。
リピトールの成分名はアトルバスタチンです。
脂質異常症は血液中のコレステロールやトリグリセリド(中性脂肪:TG)の数値異常がおこり、動脈硬化を早めたりするなど様々な病気を合併することになります。
肝臓においてコレステロール合成が行われており、コレステロールが合成される過程においてHMG-CoA還元酵素というものが関わっています。
そして肝臓で作られたコレステロールは各組織に移行して細胞膜やホルモンの材料などになったり、胆汁酸として排泄されたりします。
スタチン系薬剤はHMG-CoA還元酵素を阻害し、コレステロール合成を抑えたり、血中から肝臓へのLDLコレステロールの取り込み促進により、血中LDLコレステロールを低下させるとされています。
肝臓でコレステロール合成が抑えられると、末梢に中性脂肪(TG)を運ぶ役目のVLDLというリポ蛋白の合成が低下するので血中の中性脂肪(TG)も低下することになります。
スタチン系製剤は他に、HDLコレステロールの上昇作用もあるとされています。
禁忌
1)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2)重篤な肝障害のある患者
3)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人及び授乳婦
4)テラプレビル(テラビック)、オムビタスビル・パリタプレビル・リトナビル(ヴィキラックス)を投与中の患者
中性脂肪が下がらない場合に、併用されるのがフィブラート系と併用されることがありますが。
腎機能の臨床検査値に異常がみられる場合には原則的には併用してはいけないことになっています。
副作用のうちの「横紋筋融解症」が起こりやすいことが理由です。
腎機能の臨床検査値に異常が見られない場合でも「横紋筋融解症」には注意が必要になります。
用法用量
高コレステロール血症
通常、成人にはアトルバスタチンとして10mgを1日1回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減するが、重症の場合は20mgまで増量できる。
家族性高コレステロール血症
通常、成人にはアトルバスタチンとして10mgを1日1回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減するが、重症の場合は40mgまで増量できる。
治療に際しては十分な検査を実施し、薬剤の使用が妥当である場合のみに使用します。
慎重投与
肝障害や腎障害のある患者には慎重に投与し、定期的に検査をして確かめるようにする。
フィブラート系薬剤、免疫抑制剤(シクロスポリン等)、ニコチン酸製剤(ニセリトロール等)、アゾール系抗真菌薬(イトラコナゾール)、エリスロマイシンを投与中の患者では横紋筋融解症が起こりやすいので注意を要する。
糖尿病の患者(糖尿病を悪化させることがあるので)
甲状腺機能低下症、遺伝性の疾患(筋ジストロフィー等)又はその家族歴のある患者、薬剤性の筋障害の既往歴のある患者。(横紋筋融解症が起こりやすいので注意を要する)
高齢者は生理機能が低下していることが多いため慎重に投与すること。
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない。
リピトールはスタチン系の中でグレープフルーツといっしょに飲んではだめなものの1つである。他にはリポバスがあります。
グレープフルーツに含まれるフラノクマリンが小腸にあるCYP3A4という酵素を阻害することでリピトールやリポバスの代謝を阻害することになり、分解されなくなったリピトールなどが血中にとどまって濃度が上昇し効きすぎたりします。
クラリスロマイシン、HIVプロテアーゼ阻害剤(メシル酸ネルフィナビル等)、グラゾプレビルなども併用すればリピトールの血中濃度を上昇させます。
エファビレンツ、リファンピシン、ベキサロテン、陰イオン交換樹脂は併用してリピトールの血中濃度を低下させます。
リピトールはジゴキシンや経口避妊薬(ノルエチンドロン-エチニルエストラジオール)の血中濃度を上昇させます。
本剤の成分(アトルバスタチン)とCa拮抗薬(アムロジピン)との配合剤(カデュエット錠など)は高血圧症又は狭心症と、高コレステロール血症又は家族性高コレステロール血症を併発している患者のコンプライアンス向上のために作られた薬剤である。
薬としての効果
スタチン系は脂質異常症の治療において高い効果が期待できるため、よく処方されることが多い薬剤になります。
そのスタチン系の中でも強い方であるストロングスタチンの1つとされるリピトール(アトルバスタチン)。
他のストロングスタチンとのLDLコレステロールを下げる強さの差はないとされています。
副作用について
主な副作用としては、そう痒感(0.1~5%)、手指しびれ(0.1~5%)、不眠(0.1~5%)、下痢(0.1~5%)、胸やけ(0.1~5%)、便秘(0.1~5%)、頭痛(0.1~5%)、全身倦怠感(0.1~5%)である。
検査値異常では、γ-GTP上昇、GOT上昇、GPT上昇、CK上昇、テストステロン低下などがあった。
その他では発赤、皮膚乾燥、脱毛症、光線過敏、貧血、白血球減少、血小板減少、悪心。嘔吐、口内炎、腹痛、筋肉痛、背部痛、関節痛、耳鳴、めまい、勃起障害、女性化乳房、動悸、頻尿など多岐にわたります。
重大な副作用はいろいろあるのですが、そのうちでも頻度は少ないのですが、横紋筋融解症や肝障害には特に注意する必要があります。
手足・肩・腰などの筋肉痛、手足がしびれる、脱力感、全身倦怠感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇(尿が赤褐色になる)などがみられたら横紋筋融解症を疑う必要があります。
CKの値が基準値の10倍となることが横紋筋融解症の目安です。
横紋筋融解症よりも少し起こる確率が高い肝障害は、定期的に検査を行い、γ-GTP上昇、GOT上昇、GPT上昇などがあらわれると投与を中止するなど適切な処置を行う必要があります。
このような症状が見られた場合は服用を中止するなどの適切な措置をすることになります。
まとめ
生活習慣病でよくありがちな脂質異常症の治療にはスタチン系がよく使われます。その中でも効果の強いリピトールは使用頻度も多めであると言えます。
使用頻度も多いのでいろんな副作用や相互作用がはっきりしています。
それらをうまくとらえ治療に生かすことが必要になります。
頻度が少ない重大な副作用で、横紋筋融解症と肝障害には注意する必要があります。