1日1回で済むと期待されたインフルエンザの治療薬、イナビルは吸入なので、ちゃんと吸入できていない場合もあり、飲み薬が望まれていました。
そんな中、発売された「ゾフルーザ」。
ただ、医療機関によって、採用するところとしないところがあり、反響がありました。
亀田総合病院の発表もインパクトありましたね。
そんなゾフルーザも発売後、約1年が経ち、実際の医療に使われ始めました。
耐性があるとの声も聞かれているので、状況をまとめてみました。
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ゾフルーザの耐性について
去年から、少しずつ、耐性株についての情報がありましたが。
今年の1月28日に国立感染症研究所から、ゾフルーザが効きにくい耐性ウイルスを、横浜市の患者さんから検出したとの発表がありました。
また、2月5日には、2月1日時点で、耐性ウイルスが新たに3株発見されたと報告されました。
累計で46株解析した中で5株、10.9%の確率で検出されたといいます。
この2月の耐性ウイルスは全てインフルエンザA型の1つであるA/H3N2亜型(香港型)であるという。新型インフルエンザ(A/H1N1pdm2009)やインフルエンザB型からは検出されていない。
今のところ、香港A型のインフルエンザウイルスだけですが、今後どうなるかはわかりません。
ゾフルーザ以外のインフルエンザ薬では、新型インフルエンザ(A/H1N1pdm2009)において、オセルタミビル(タミフル)とペラミビル(ラピアクタ)の耐性株が1株ずつ検出されています。(検出率:0.2%)
もうほとんど使われていないアマンタジンでは新型インフルエンザ(A/H1N1pdm2009)とA/H3N2亜型(香港型)全て(100%)で耐性株がみつかっている。
アマンタジンは別として、タミフルよりも高確率で耐性株の検出があったのが気がかりですね。
まあ、論文の内容から、ある程度予想できたこととは言え、少し気になりますね。
ゾフルーザ疑問点
ゾフルーザに関しての疑問点はいろいろあるようですが。
Q1、効かないこともあるのか?
Q2、ウイルスの排出される期間は短くなるのか? (学校や職場に復帰が早まる?)
A1、A2、
論文(CAPSTONE-1について)から、重症化や合併症のリスクを持たない12~64歳のインフルエンザ患者を対象とした第2、第3相臨床試験で、インフルエンザの症状がプラセボに対して26.5時間短縮した、つまり症状発現時間が短くなった、そしてタミフルに対して劣らないことが示されている。
*ここで、臨床試験について解説しておきます。
第1相試験 健康な人を対象に「どのような副作用がどのくらい起こるのか」「どのくらい体の中に吸収され、どのくらいで出ていくのか」などを調べる。
第2相試験 少数の患者さんを対象に「本当に病気に対する効果があるのか」「どの程度の量やどんな使い方をすればいいのか」などを調べる。
第3相試験 多数の患者さんを対象に「すでに市販されている薬などと比較して効果や安全性がすぐれているのか」などを調べる。
上記の論文から、学校や職場に復帰が早まるという期待がもたれていますが。
ただ、疑念点としては、ゾフルーザの耐性です。
服用中にゾフルーザが効かなくなる遺伝子変異がウイルスに起きる可能性があります。
つまり、最初は効いていても、途中から変異が起きて効かなくなる可能性もあるということです。
実際に、ゾフルーザ投与から3日目以降にウイルスが増えた(抗体価の上昇)ケースがあるようです。
どれくらい増えるか、そのウイルス株が流行しやすいのかは今のところ不明です。
Q3、服用後熱が上がることもあるのか?
A3、
上記に書いてるように、変異が起きて効かなくなりぶり返すことも考えられますが。
インフルエンザの発熱には二峰性がみられる時があります。
(二峰性:発熱などの症状が一度高まり、治りかけた後にふたたび高まることをいう。)
全体の5.2%で認められる。
年齢別では、
13歳以上で2.7%、10~12歳で4%、8~9歳が5.9%、7歳以下が7.6%。
年齢が下がるごとに高まり、特に小学生で目立ちます。
インフルエンザのタイプ別では、
インフルエンザA型 3.7%
インフルエンザB型 19%
インフルエンザの薬別では、
イナビル 8.9%
リレンザ 1.8%
インフルエンザA型では イナビル 7%、 リレンザ 1.4%
インフルエンザB型では イナビル 12.9%、リレンザ 1.9%
理由は以下のようなものが考えられますが、ハッキリしていません。
1.インフルエンザウイルス自体の性状による
2.人間の体の中でサイトカインなどの反応による
3.薬の特性による
4.別の感染症にかかったから
まとめ
期待されて出てきたインフルエンザの新薬「ゾフルーザ」、耐性については心配ですが、今後のなりゆきを見守りましょう。
服用後、少し熱が下がったものの、時間が経つにつれ、ぶり返したとの報告もあるようです。
薬が原因かは不明ですが、1つの可能性としてとらえておくべきでしょう。
今後、使用頻度が上がれば、いろいろわかってくるでしょう。