インフルエンザにかかった場合に、
通常、免疫をある程度持っている場合はウイルス性の肺炎にはなりにくいと考えられています。
1957年のアジア風邪、2009年のH1N1ウイルスによるものなどのときはウイルス性肺炎での重症化がみられたようです。
人類にとって初めてのウイルスゆえに、等しく免疫を持っていなくてウイルス自体による肺炎がみられたのだといわれています。
それ以外の季節性のインフルエンザなどの場合は圧倒的に二次性の肺炎が多数を占めるそうです。
インフルエンザによる二次性の肺炎とは、その原因と治療法について紹介します。
Contents
インフルエンザによる二次性の肺炎
二次性の肺炎というのは、細菌性の肺炎のことを指します。
原因菌としては、
肺炎球菌
黄色ブドウ球菌
インフルエンザ菌
などがあげられます。
インフルエンザ菌は、昔、インフルエンザの原因病原体と間違われたことから命名されたようです。以後インフルエンザウイルスが発見されたので原因病原体ではないことが判明しました。
この二次性の肺炎は重症化しやすく、インフルエンザでの最大の死亡原因であるといわれています。
有名な事例としては、20世紀前半に大流行したスペイン風邪で亡くなった人のほとんどが肺炎によるものだったといわれています。
そして肺炎を併発するのを特に注意すべき人々としては
1)心臓や呼吸器に慢性の病気を持っている人
2)糖尿病、腎臓病、免疫不全などを持っている人
3)養護老人ホームなどの長期療養施設に入所している人
4)50歳以上の人
などが該当します。
これらの人々を含め、この症状に注意しなければなりませんね。
その原因
インフルエンザに感染するとなぜ二次性の肺炎を合併することが多いのかですが。
考えられていることは大きく分けて3つあります。
1つめは、
インフルエンザウイルスが気管支上皮に感染すると、その上皮をはがしてしまい、その上皮にあった繊毛を失ってしまうことや、はがされた細胞の残骸が細菌繁殖の温床になっているのではないかという考え。上皮にある繊毛は侵入した異物などを排除する役目をもっているため、その排除機能がなくなります。
2つめは、
最近の研究によって、インフルエンザウイルスが感染すると人間にステロイドホルモンをつくるよう仕向けてしまうことが判明していて、その結果、人間のもっている免疫機能が低下してしまうので、細菌に感染しやすくなるということ。
3つめは、
別の研究では、肺胞に存在するマクロファージがインフルエンザウイルスに触れて過敏な状態になると、その後の細菌感染に対して過剰な免疫応答を起こし、結果として重症な肺炎を発症しやすくなるという研究成果をもたらしたようです。この研究成果は人間の代わりにマウスをモデルとして出されたものです。
マクロファージって何?と言う状態なのかもしれないので、簡単に話しますと。マクロファージは白血球の1種で、アメーバのようにあちこちを這いまわり、人間としての異物をなんでも食べまくって、その異物の情報を免疫の仲間に伝える役目があるものです。
この免疫応答の過剰反応による肺炎というものは、インフルエンザ脳症のサイトカインストームと似ていると私は思っています。
どちらもインフルエンザウイルスにさらされたことで、人間の免疫応答などの防御態勢が暴走して症状を悪化させているようにみえます。
なぜ、このようなことが起きるのか、これからの研究で解明されることを期待しています。
治療法について
このような二次性の肺炎は細菌によるものであるため、細菌に効果がある抗生物質の投与をすることで治療します。
投与される抗生物質は、患者検体にはどんな菌が存在するかを調べ、その菌がどの抗生物質に感受性がある(効き目がある)かを調べて選びます。急ぐ必要があるときは医師の裁量で選ぶこともありえます。
インフルエンザの症状が出てから5~7日経過しても熱が下がらなくなったり、咳などがひどくなったり、色の濃い痰または鼻汁が出てるなどのときには、肺炎を合併した可能性を疑ってみましょう、早めに医師に相談して適切に対処してもらいましょう。
まとめ
私はインフルエンザが流行りそうな時期には体調を万全にして、手洗いうがいなどもしているので、インフルエンザにかかっても軽いうちに治ってしまいます。二次性の肺炎には今までなったことがありません。
インフルエンザにかかった場合、二次性の肺炎を起こさないようにするには、適切な治療をしたうえで、無理をせずに充分休養して栄養補給も適切にして早めに治すようにしましょう。